世界最大プラズマ装置向けに新型コイルが完成
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)と三菱電機株式会社は、日欧共同で開発したトカマク型超伝導プラズマ実験装置「JT-60SA」において、プラズマを精密に制御するための高速プラズマ位置制御コイル(FPPC)を完成させました。このコイルは、2026年から始まるプラズマ加熱実験で使用され、その性能は未来のフュージョンエネルギー実現に向けた重要な要素となります。
JT-60SA及びFPPCの概要
JT-60SAは茨城県那珂市に位置する世界最大のトカマク型超伝導プラズマ実験装置です。2023年には約160立方メートルのプラズマ体積を達成し、2026年には550万アンペアのプラズマ電流を目指します。完成したFPPCは、8メートル直径の銅製コイルで、真空容器内に設置され、プラズマの位置・形状を±2ミリメートル以内で制御します。この精密制御により、プラズマの安定性が保証されます。
技術的課題を克服
FPPCは、狭隘な真空容器内での製作という技術的な課題を克服して完成しました。QSTが性能設計を担当し、三菱電機が実際の製作方法を新たに考案。これにより、真空環境での製作が成功し、プラズマの安定管理に求められる高精度を実現しました。この技術は、南フランスで建設中のイーター(ITER)にも適用され、国際的競争力を高める要因となります。
未来のエネルギー問題への貢献
世界がフュージョンエネルギーの実現に向けて競争している中、JT-60SAで培う技術は極めて重要です。FPPCは、将来的にはAIを活用した自動制御技術の基盤にもなると期待されています。この成果は、エネルギー問題解決に寄与し、人類の持続可能な未来に向けた一歩と言えるでしょう。
さいごに
JT-60SAによるFPPCの成功は、フュージョンエネルギー研究の国際的な礎を築くものであり、次世代のエネルギー源としてのフュージョンエネルギーの早期実現に向けた重要なマイルストーンとなります。これからの研究開発が、さらなる進展をもたらすことを期待しています。