分身ロボットOriHimeを活用した画期的な就労支援事業が東京都でスタート
東京都は、オリィ研究所が開発した分身ロボットOriHimeを活用した、重度障害者向けの新たな就労支援事業を開始しました。2024年10月より、東京都庁舎展望室などを拠点に、重度障害のある方々がOriHimeを通して観光案内やイベント案内などの業務に携わります。
この事業の大きな特徴は、重度障害者の方々が自宅や施設にいながら、OriHimeを遠隔操作することで働くことができる点です。スマートフォンやパソコンからインターネット経由でOriHimeを操作し、来庁者と対話したり、案内業務を行ったりします。これにより、移動の困難さや身体的な制約など、従来の就労形態では抱えていた障壁を克服し、働く機会の拡大を目指しています。
OriHime:孤独を解消する分身ロボット
OriHimeは、オリィ研究所が「人類の孤独を解消する」という理念のもと開発された分身ロボットです。遠隔操作によって、まるでその場にいるかのような存在感でコミュニケーションをとることができます。今回の事業では、OriHimeの高い操作性とコミュニケーション能力が、重度障害者の方々の就労支援に大きく貢献すると期待されています。
事業の背景と目的:多様な働き方の実現
東京都は、障害の有無に関わらず、誰もが自分自身の能力を最大限に活かせる社会の実現を目指しています。特に重度障害者の方々にとって、移動や対人コミュニケーション、社会的な役割の獲得は大きな課題です。この事業は、OriHimeを活用することで、そうした課題を克服し、重度障害者の方々の就労機会を大幅に拡大することを目指しています。
さらに、この事業は、分身ロボットを活用した新たな働き方の可能性を示すだけでなく、障害者雇用に対する社会全体の理解を深めることも目的としています。東京都庁舎という多くの人が訪れる場所でOriHimeによる業務が行われることで、一般の人々も分身ロボットと、そしてそのテクノロジーによって働くことができる重度障害者の方々と接する機会が増え、より深い理解につながることが期待されます。
オリィ研究所:孤独解消に向けた技術開発
オリィ研究所は、障害や病気、介護、子育てといった理由で外出が困難な人々の生活を豊かにすることを目指し、様々な技術開発に取り組んでいます。OriHime以外にも、OriHime-DやOriHime eye+Switchといった、移動困難者の方々の社会参加を支援する製品を提供しています。また、「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」のような、OriHimeを活用したユニークな取り組みも展開しており、社会に大きなインパクトを与え続けています。
今後の展望:社会全体の包摂性の向上へ
今回の東京都庁舎での事業は、分身ロボットを活用した就労支援の先駆けとなるものです。この取り組みが成功すれば、他の自治体や企業でも同様の事業が展開され、重度障害者の方々にとってより多くの就労機会が生まれる可能性があります。さらに、OriHimeのようなテクノロジーが、社会全体の包摂性向上に大きく貢献することが期待されます。
この事業の進展によって、テクノロジーと社会貢献が融合した、より多様性と包摂性に富んだ社会が実現することを願っています。