UVC紫外線が新型コロナウイルスを不活性化
新たな研究成果として、藤田医科大学の村田貴之教授を中心とした研究グループが、フジデノロ株式会社との共同でUVC紫外線照射装置による新型コロナウイルス(通称:SARS-CoV-2)の不活性化を確認しました。この研究は国内初の試みであり、ウイルス感染を防ぐための新たな手段として大きな注目を集めています。
研究の背景
新型コロナウイルスは2019年に中国で発生し、瞬く間に世界中に広がりパンデミックを引き起こしました。特に、高齢者や基礎疾患を持つ方々にとっては、感染すると重症化するリスクが高く、これは国際的な公衆衛生問題の深刻さを増す要因となっています。そのため、ウイルスの感染拡大を防ぐために、紫外線(UV)による殺菌技術の研究が進められています。特にUV-C波長の紫外線は強力な殺菌効果を持つことが知られていますが、SARS-CoV-2に対しての効果に関する詳細なデータは不足していました。この研究は、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた重要な一歩となります。
実験の概要
藤田医科大学の研究チームは、UVCランプ(254nm)を用いた実験を行い、具体的な手順としてはSARS-CoV-2のウイルス液を金属製の担体に塗布し、乾燥させた後、特定の時間だけUVC紫外線が照射されました。この実験では、照射装置「MoonBeam3」を用い、照射距離は40cmと定められました。
UV照射後には、ウイルスが付いた担体を培養液で処理してウイルスを回収し、特定の細胞に感染させることで、殺ウイルス効果を評価しました。この実験は藤田医科大学内のバイオセーフティレベル3(BSL3)施設で行われ、安全対策を十分に講じた上で実施されました。
研究の成果
実験の結果が示されたのは、UVC紫外線の強力な効果でした。市販のUV灯を使用した場合、2秒の照射で感染性ウイルスは95.5%減少し、10秒の照射では99.99%が失活しました。一方、「MoonBeam3」と呼ばれる装置では、0.5秒の照射で98.7%減少、2秒で99.99%減少し、4秒後にはウイルスが検出限界以下になるという非常にショッキングな結果が得られました。この結果から、『MoonBeam3』は市販のUV灯に比べ、約5倍もの効果的な殺菌力を持つことが確認されました。
まとめ
この研究によって、UVC紫外線がSARS-CoV-2を効果的に不活性化することが明らかとなりました。特に『MoonBeam3』の高い殺菌力は、今後の感染症対策において非常に期待される成果と言えるでしょう。新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた取り組みとして重要なデータとなり、社会全体への波及効果が期待されます。
研究お問い合わせ先
報道セクションへのお問い合わせ先