アスタキサンチンの力
2015-11-26 10:00:21

金沢大学の発見:アスタキサンチンが非アルコール性脂肪性肝炎を予防する可能性

アスタキサンチンの新たな可能性



金沢大学の研究チームが、アスタキサンチンが非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の予防や抑制に有効であることを発見しました。この成果は、富士化学工業との共同研究によって実現され、食材としても知られるアスタキサンチンの新たな治療効果が明らかになりました。

NASHとは何か?


非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、肝臓に脂肪が蓄積する病気で、NASHはその中の一つです。国内には約2,000万人の患者がいるとされ、特にその中の300万~400万人がNASHとして炎症を起こし、最終的には肝硬変や肝がんに発展する危険性があります。

アスタキサンチンの研究


金沢大学医薬保健研究域の太田嗣人准教授を中心とする研究グループは、アスタキサンチンがNASHにどう影響するかをマウスを使って検証しました。高コレステロールの餌を与えたマウスに、アスタキサンチンを混ぜて与えたところ、生活習慣病やNAFLDの基盤であるインスリン抵抗性が改善され、肝臓の脂肪沈着が約50%減少したことが分かりました。また、脂質過酸化が80%以上抑制された結果、炎症を引き起こすマクロファージの変化を伴ってNASHの進行が抑制されました。

治療への期待


さらに、NASHを発症させたマウスにアスタキサンチンを混ぜた餌を与えると、肝炎や線維化の改善が80%近く見られました。このような効果により、アスタキサンチンがNASHの治療薬としての応用が期待され、ビタミンEよりも効果的な治療手段として注目を浴びています。

アスタキサンチンの特徴


アスタキサンチンは、サケやカニなどに含まれるカロテノイドの一種です。その抗酸化力は非常に強力で、活性酸素を除去する能力はビタミンCの6000倍、脂質の過酸化抑制力はビタミンEの1000倍とも言われています。これは、アスタキサンチンが生体防御物質として重要な役割を果たしていることを示しています。

未来の治療法に向けて


この研究によって、アスタキサンチンのNASHへの効果が確認されたことは、肝臓病が社会的に大きな問題である中で、非常に意義深いことです。今後もこの研究を進め、臨床試験を通じてNASH患者への具体的な治療法が確立されることが期待されます。アスタキサンチンが新たな治療薬として、私たちの健康に貢献する日を心待ちにしています。

この研究の詳細は、科学雑誌『Scientific Reports』に掲載されています。是非、関連した情報を知りたい方は記事を探してみてください。

会社情報

会社名
富士化学工業株式会社
住所
富山県中新川郡上市町横法音寺55番地
電話番号
076-472-2323

トピックス(科学)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。