副業・兼業者の現状とリスクを探る
近年、副業・兼業の促進が政府主導で進められていますが、実際にどのような問題が業界で起こっているのかは依然として不透明です。そんな中、株式会社フクスケが行った「業界横断 副業・兼業者の実態調査」によって、様々な業界の副業の現状、リスク、課題が明らかになりました。
調査の背景
新しい働き方を模索する中で、副業を持つ人が増えてきています。しかし、実際のところ、どの業界でどのようなトラブルが生じているのか、その具体的なデータはまだ少ないのが現状です。政府の「新しい資本主義」実行計画においても、副業に関する制度の見直しが進められており、従業員の副業を支援するための環境が整いつつあります。さらに、企業の人事担当者や行政担当者は、より適切なリスク評価や制度運用を求められています。
調査の方法と結果
本調査では、全国の20〜65歳の8万9,168名を対象に、14業界97業種にわたる副業・兼業に関する実態を調査しました。具体的には、副業の実施率や収入、勤務時間、制度の理解度、職場の寛容さ、トラブル発生率などを整理し、業界ごとのリスクを可視化しています。
調査結果によると、副業のリスクは業界ごとに異なり、特に農林水産業や不動産、製造業が高リスクとされています。一方で、医療や福祉、教育業界はリスクが低いとされ、安定した副業環境が整えられています。
例えば、農林水産業は副業率が高く、トラブル発生率も高い傾向にあり、労働時間の過多が問題視されています。これに対し、医療・福祉業界は副業の頻度は少ないものの、医生や福祉職が専門スキルを生かした副業がしやすい環境があります。
業界ごとの副業許容度
調査では、業界ごとの副業に対する職場の許容度も分析されました。農林水産業、サービス業、教育業、福祉業が特に高い許容度を示しましたが、それ以外の業界では30%前後と低調な結果となりました。特に、建設業や不動産業は副業を容認されていると感じる割合が低く、内部でのトラブルの原因ともなっています。
課題と提案
調査結果からは、副業を行う労働者が抱える課題も浮き彫りになりました。「相談できる人がいない」「上司からの圧力」「仕事の機会を逃した」といった声が上位を占め、所属する業界の副業に関する制度が未整備であることが主な要因とされています。
また、副業への組織の方針が離職検討に影響を与えていることもわかりました。特に農林水産業に従事する労働者が最も高い離職検討率を示していることから、新たなアプローチが必要となります。
結論
本調査は、副業を適切に活用するための基礎データを提示します。労働者、企業、政策立案者がこの情報を基に、より持続可能な働き方の実現に向けて進んでいくことが期待されます。詳細な調査結果やリスク分析は、完全版レポートとして公開されていますので、ぜひご覧ください。
公式サイト:
業界横断副業・兼業者の実態調査