順天堂大学、AIを活用した医療機関転院支援システムを構築

順天堂大学が取り組むPFM AIマッチングシステムとは

順天堂大学医学部附属順天堂医院と日本アイ・ビー・エム社が共同で、退院患者に対し最適な医療機関への転院支援を行う「Patient Flow Management（PFM）AIマッチングシステム」を構築しています。このシステムは、入院患者の個別情報をもとに、彼らが退院後もスムーズに医療を受けられるようサポートすることを目的としています。地域の医療機関との連携を通じて、より良い医療の提供を目指します。

背景と目的

超高齢社会が進展する中、医療の地域連携がますます重要視されています。特に、患者の入院から退院後にかけて、スムーズな転院や地域医療機関との接続が求められています。これを受けて、順天堂医院では「地域包括ケアシステム」の実施が求められており、これに寄与するためにPFMを導入します。具体的には、入院中に必要な情報を集積し、早期から患者に最適な転院プランを提示することが目標です。

PFM AIマッチングシステムの機能

PFM AIマッチングシステムでは、セキュアに格納された電子カルテデータを活用し、患者一人ひとりに最適な医療機関を効率的に検索・抽出します。これにより、医療従事者の負担を軽減し、転院先の選定プロセスを20%以上効率化できると期待されています。また、AIは同様の病歴を持つ他の患者と比較し、最適な医療機関を提案することが可能です。

特徴

- AIによるマッチング機能: 患者の病名や住所に基づき、最適な医療機関を候補として提示。
- 経路表示機能: 通院時の移動手段に応じた地図を表示し、具体的なイメージを患者に提供。
- 情報共有機能: ダッシュボード上で候補と選定された医療機関のメモを記録し、医療従事者間の情報共有を促進。
- 対話型検索機能: 未表示の患者情報を生成AIの対話型検索機能を通じて取得。

今後の展望

将来的には、全国規模での医療機関の登録を増やし、地域全体の医療サポートを充実させることを目指しています。また、訪問リハビリテーションなどのサービスも拡充し、自宅療養を行う患者の支援体制を整えることで、地域医療のエコシステムを構築することが期待されています。この新しい試みを通じて、医療の質向上と費用削減が見込まれ、将来的な社会保障の負担軽減にも寄与することを目指しています。