高知県室戸市での新たな挑戦『TOCKLE』
高知県室戸市にて、BRJ株式会社が新しい実証実験を始めました。このプロジェクトは、電動三輪モビリティシェアリングサービス「TOCKLE」を通じて、地方の輸送問題を解決しようとするものです。特に交通空白地域での利便性向上を目指しています。
TOCKLEの特徴
地方にフォーカスしたサービス
様々な交通手段が減少している今、特に地方ではその影響が顕著です。バスや鉄道が赤字経営に苦しみ、運転手不足も深刻になっています。そこで『TOCKLE』は、都市部を避けて地方でのサービス展開に取り組むことにしました。地方の道幅が広く交通量が少ない環境は、モビリティの運用に適していると言えます。
GIS技術を用いた安全機能
『TOCKLE』に搭載されている「ジオフェンシング機能」を使うことで、車両は決められた地域の境界を越えないようになっています。この機能により、地域の特性に合わせた安全対策が取れるようになっており、地域の自治体が柔軟に侵入禁止エリアを設定することが可能です。
夜間運用の禁止
電動モビリティ業界では、利便性から夜間運用が一般的です。しかし、遅い時間帯には飲酒運転のリスクが高まります。『TOCKLE』では、安全確保のため、いかなる地域においても夜間運用を行わず、安心して利用できる環境を整えます。
室戸市の観光資源とTOCKLEの導入
室戸市はユネスコ世界ジオパークに認定されており、観光資源が豊富です。特に「室戸岬」や「最御崎寺」といった名所は、多くの観光客を引き寄せていますが、各観光地間の移動が難しいという問題がありました。これにより観光客が市街地の店舗や宿泊施設を利用しにくくなり、経済効果が限られていました。
『TOCKLE』を導入することで、観光地間のアクセスが改善され、地域全体の観光誘致が期待されます。多くの観光客が周遊することにより、地元経済の活性化を図ることができるのです。
実証実験の概要
実験は2025年9月1日から2026年1月15日まで行われます。有人レンタルと無人シェアリングの2種類の運用方式があり、いずれも利用に際して身分証明書が必要です。
- - 有人レンタル: 8:30〜17:00(最終受付16:00) 料金は1時間600円、3時間1,500円。
- - 無人シェアリング: 6:00〜20:00 料金は1時間500円、以降は1時間ごとに500円。
これらのレンタルサービスは、観光協会やジオパークセンターなど多様な地点で行われるため、利便性も向上しています。なお、無人サービスを利用するにはTOCKLEアプリのダウンロードが必要です。
BRJの企業理念
BRJ株式会社は「人と街に感謝される未来の公共交通を創る」というビジョンを持ち、地域の交通問題を解決するために活動しています。社長の宮内氏は、物流の現場での経験を経て、安全に対する意識を重視しており、地域との連携を大切にした事業展開を行っています。
このTOCKLE実証実験が成功すれば、今後他の地域にも広がる可能性があります。高知県室戸市の挑戦は仕組みの革新として、多くの地方における交通問題解決に寄与するでしょう。