ポーラ化成工業、暑熱対策AIカメラの実証結果を発表
ポーラ・オルビスグループの研究開発部門であるポーラ化成工業株式会社は、暑熱対策用のAIカメラを建設現場で社会実装する実証試験の成果を最近発表しました。この発表は2024年度の日本土木学会第79回年次学術講演会において行われ、同社が開発した技術が労働現場の安全性向上に寄与することが確認されたことを伝えました。
背景と実証試験の目的
近年、猛暑日が続く日本では労働安全の確保が大きな課題となっています。ポーラ化成工業はこの点に注目し、豊田工業高等専門学校が開発したAIモデルを活用することで、作業者の顔色や表情を解析し、労働者の健康状態をリアルタイムで把握するシステムを構築しました。このAIカメラは、暑さの影響を受けやすい労働環境でのリスクを軽減することを目的とし、建設現場に社会実装が行われました。
実証試験の結果
2023年6月から10月にかけて、150名以上の現場作業員がこの暑熱対策AIカメラを任意で利用するという実証試験を行いました。試験参加者に対してアンケートを実施したところ、62%の管理監督者が簡便性を実感しており、51%の職長が作業員の声掛けや見落とし防止に役立っていると答えました。この結果は、AIカメラが現場におけるコミュニケーションの促進に寄与し、作業員の健康意識を向上させる可能性を示唆しています。
AIカメラの活用例
具体的には、AIカメラは個々の作業員の顔色や表情を解析し、その情報をもとにコミュニケーションを促進する行動案を提示します。これにより、管理者が作業員の健康状態に気づきやすくなり、労働環境の安全性を高めることが期待されます。特に、猛暑時の建設現場では、AIの利用によってより迅速な対策を講じることが可能になると考えられています。
今後の展望
ポーラ化成工業では、実証試験の成果を受け、さらに暑熱対策AIカメラの改良作業を進めています。今後は、より多くの現場での実装を目指し、労働安全の確保と社会課題の解決に向けた研究開発を続けていく方針です。
学会発表の概要
この重要な成果は、令和6年度日本土木学会第79回年次学術講演会において発表されました。会議は東北大学川内キャンパスで行われ、ポーラ化成工業からは複数の研究者が参加しました。具体的な発表内容や演題については、以下のリンクよりご確認いただけます。
日本土木学会演題情報
ポーラ化成工業では、今後も自社の技術を基に社会のニーズに応じた商品を開発し、持続可能な社会の実現に貢献していく所存です。