ADPKD治療薬候補
2023-12-05 15:54:12
新たな治療薬候補がADPKD治療に光明をもたらす!
ADPKD治療に新たな一歩
常染色体顕性多発性嚢胞腎(ADPKD)は、遺伝性の難病で、腎臓に多数の嚢胞を形成し、次第に腎機能が悪化していく疾患です。末期的な腎不全に至ることも多く、現在のところ根治的な治療法は存在しません。対症療法として知られるトルバプタンという薬剤があるものの、病気そのものを根本から治療する薬を発見することが求められています。
この度、リジェネフロの長船健二教授を中心とした研究グループが、ADPKDの治療薬候補の臨床試験を近く実施することを発表しました。この報告は、ADPKD患者にとって明るい希望となるでしょう。
ADPKDの発症メカニズムの解明
ADPKDは腎臓に加え、肝臓や膵臓などにも影響を及ぼし、全身の血管異常や高血圧、さらには脳動脈瘤や心臓の異常なども伴います。研究チームはこれまでにも、ヒトiPS細胞を利用して腎臓のネフロンの疾患モデルを作成してきました。新たに開発したモデルでは、ネフロンとつながる集合管の疾患モデルが作られ、ADPKDの病態がより忠実に再現されました。この成果は、ADPKDの発生メカニズムの理解を大いに進め、創薬への道を開くものです。
治療薬候補の内容と治験の計画
今回候補となったRAR作動薬は、もともと急性前骨髄球性白血病(APL)の治療薬として認可されている既存の薬です。この治療薬は、この病状において一定の効果を示しており、ADPKDにも応用可能であると考えられています。治験は、比較的病態の進行リスクが高いADPKD患者を対象にしており、トルバプタンを使用できないか、使用を希望しない患者を対象に実施されます。
研究チームは10月上旬に治験届を提出済みで、12月には治験実施契約を締結予定です。2024年初頭には被験者の募集を開始する見込みです。これにより、患者に新しい治療の選択肢を提供し、ADPKD克服へ向かっての第一歩となることでしょう。
期待の高まる研究
本研究の進展は、今後のADPKDに関する研究にも大きな影響を与えると考えられます。ADPKD患者にとっては、根本的な治療法が見つかる様々な可能性が開けてきます。今後の治験の進行状況に注目が集まる中で、多くの患者がこの新たな治療法に希望を抱いています。
会社情報
- 会社名
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リジェネフロ株式会社
- 住所
- 京都市左京区吉田下阿達町46-29京都大学医薬系総合研究棟
- 電話番号
-
075-744-6858