新たなオレフィン製造技術の開発に向けた取り組み
IHIは、経済産業省からの支援を受け、CO2の再資源化を通じた新しいオレフィン製造技術の確立に取り組んでいます。このプロジェクトは、2050年までのカーボンニュートラルを目指す「グリーン成長戦略」の一環として位置づけられており、持続可能な化学工業の実現に向けて重要な役割を果たすものと期待されています。
カーボンリサイクル技術とは?
「カーボンリサイクル」とは、大気中のCO2を捕まえ、それを有効に利用する技術を指します。従来、オレフィンは原油由来のナフサを熱分解することで作られていましたが、IHIは新たに排ガスや大気から回収したCO2に水素を組み合わせて合成する手法を目指しています。これにより、プラスチック製造などで発生するCO2の削減が可能になるのです。
触媒技術の開発
IHIは、シンガポールの化学工学研究所(ICES)との共同研究を行い、効率的にオレフィンを製造するための触媒を開発しました。実験室での試験では、既に良好な結果を得ており、この成果をもとにさらに高性能な触媒の開発を進めています。
効率的な反応器の設計
また、本研究では効率的で安定したオレフィンの製造を実現するため、石油化学用リアクターの設計技術を活用し、反応時の発熱を制御する新しい反応器も開発します。これにより、CO2回収装置と低級オレフィン製造装置を石油化学プラント内に配置し、2024年度からは実際の排ガスから回収したCO2を用いた試験が開始される予定です。
既存設備との統合検討
試験では、生成した低級オレフィンと既存プラントで生産されたものとの比較、互換性評価を行い、さらには既存プラントとの統合条件に関する考察も深めていく予定です。この取り組みは、今後の化学工業におけるカーボンニュートラルの推進に寄与するものと考えられています。
IHIの使命
IHIはこれまでも、メタネーション触媒やCO2回収装置の開発で成果を上げており、プラントのプロセス設計技術を駆使して、化学業界におけるカーボンニュートラルの実現に貢献していく方針です。本研究はその一環であり、持続可能な社会の構築に向けた重要なステップとなります。
参考資料
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