世界初の自律型デジタル細胞診システムの概要
株式会社CYBOと公益財団法人がん研究会有明病院細胞診断部の研究チームが共同開発した臨床グレード自律型デジタル細胞診システムが、世界的に注目されています。この革新的なシステムの秘訣は「ホールスライド・エッジ・トモグラフィー」と呼ばれる新技術と、高度なAI解析ソフトによって構成されています。先日、総合科学誌「Nature」にこの研究成果が発表されました。
ホールスライド・エッジ・トモグラフィーとは
この技術は、大量の細胞を高精細な3D画像としてつかむ能力を持っており、細胞の形態情報を自動で統合・分類することが可能です。具体的には、数万から百万人分の細胞を対象にしてAIが形態を分析し、「形態分化クラスター」という新しい概念を使って整然としたデータを生成します。この独自のAI技術が、細胞集団の自動抽出・定量化を実現しています。
研究の背景と現在の課題
細胞診は体から採取されたサンプルを調べることで、がんや炎症の有無を調べる重要な診断方法です。しかし、細胞診には技術者不足や負荷の高さから多くの課題が存在していました。特に、従来の技術では2Dスキャナによる観察では細胞は重なり合い、その精度に問題がありました。 今回の研究は、この課題を解決する新たな基盤として、高解像度3D画像のデジタル化を目指しました。
AI技術による検査性能の飛躍
がん研有明病院など、4つの医療施設で行われた性能評価試験6000例以上で、この新しいシステムの性能が証明されています。AI解析ソフトは、専門家の評価をも上回る性能を示し、特にLSILやHSILといった異型細胞を高精度で識別できることが分かりました。また、HPV検査と照らし合わせても、高い結果を収めており、AIの能力に大きな期待が寄せられています。
今後の展望
この技術は、すでにCYBO Scanとして製品化され、日本各地で導入が進められています。今後は特に、子宮頸がんの検診支援やリスク層別化ツールとしての活躍が期待されています。また、このデジタル細胞診システムは、他の臓器にも応用できる可能性があり、さらなる国際展開を見据えた研究が進行中です。
医療の未来を担う技術
新田尚CEOはこの技術が世界中に広がることを期待しており、特に医療現場で接する方々の負担を軽減し、日々の業務を効率化する貢献ができると考えています。 AIとデジタル技術の進捗は、今後の細胞診における客観的で再現性の高い診断に寄与していくでしょう。
この研究成果は、がん検診の新たなスタンダードとして世に広がることで、間接的に多くの命を救うことにつながると期待されているのです。