エーザイとPRISM BioLab、E7386の試験結果を発表
エーザイ株式会社(東京、文京区)と株式会社PRISM BioLab(神奈川、藤沢市)が共同で開発した新薬E7386が、2025年5月30日から6月3日まで米国シカゴで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で、臨床試験の結果が発表されることになりました。この発表に先駆けて本日、アブストラクト(研究概要)が公開され、関心が高まっています。
本試験は、E7386と他の抗がん剤レンバチニブの効果を評価するもので、進行中の非盲検第Ⅰb相試験(NCT04008797)の解析結果が公開されています。対象者は、抗PD-(L)1免疫療法や化学療法で病状が進行した子宮体がんの患者で、これまでに計画されていた30名の組み入れが完了しており、現在9名には治療が実施中です。試験結果により、E7386とレンバチニブの合わせ技が、驚くべき抗腫瘍効果と安全性を示すことが確認されています。
試験の詳細と効果
得られたデータによれば、全奏効率は30%、つまり9名の患者のうち、がんの大きさが30%以上縮小したことが確認されています。中でも、レンバチニブ投与歴がない患者においては、奏効率が42.9%という高い数字が記録されています。このような高い効果は、治療が進行中の段階でのものであり、最終的な結果がどのようなものになるのか、非常に注目されています。
E7386は、CBP/βカテニン相互作用を阻害する新しいタイプの抗がん剤で、2016年からエーザイとPRISM BioLabが共同で研究を進めています。特に、E7386の下流にあるCBP/βカテニンシグナルが、がん細胞の悪性化に深く関与していることから、がん治療への期待が高まっています。さらに、この薬は経口で投与可能なことから、患者の負担が軽減される利点もあります。
また、レンバチニブについても、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)に対する選択的阻害活性が確認されており、これにより腫瘍の新生血管形成を抑えることが期待されています。現在、レンバチニブは甲状腺がんや肝細胞がんなど、複数のがんにおいて治療に使われています。
今後の展望
試験の進捗に応じて、今回のE7386とレンバチニブの併用治療についての知見が深まることが期待されます。現在までの分析では、E7386とレンバチニブの併用により、高い奏効率と安全性が示されたため、今後の研究や治療の方向性に大きな期待がかかります。この成果を踏まえ、患者さんへの最適な用量調整が行われる予定です。
PRISM BioLabは、独自の技術を用いて新しい治療法の開発に挑む企業であり、今後もその成果に注目が集まることでしょう。医療の現場において、新たな可能性を広げるE7386とレンバチニブの研究成果に、今後も目が離せません。
詳細については、PRISM BioLabの公式ウェブサイトをご覧ください。