FRONTEOと塩野義製薬、会話型AIによる認知機能検査の臨床試験開始
株式会社FRONTEO(以下FRONTEO)と塩野義製薬株式会社(以下塩野義製薬)は、共同開発した医療機器「会話型認知機能検査用AIプログラム(SDS-881)」の臨床試験を2024年に開始しました。この試験は、認知症やうつ病を早期に発見し、適切な診断を促すことを目的としています。
開発の背景と目的
FRONTEOと塩野義製薬は、2024年2月14日に認知症やうつ病関連のAIプログラム事業に関する戦略的業務提携を締結しました。この提携の一環として開発された本機器は、約10分間の医療従事者と患者との自由会話を分析し、認知機能の低下が生じているかどうかを短時間かつ高精度に評価できるため、医師による診断のサポートが期待されています。これは、特に高齢化が進む日本において大変重要な社会的課題の一つです。
特徴と利点
この会話型AIプログラムは、FRONTEOが自社開発した特化型AI「KIBIT」を活用しています。KIBITは、自然言語処理技術を用いており、患者との会話を迅速に分析し、異常の有無を判断します。これにより、医療従事者の負担を軽減しつつ、患者もストレスを感じることなく診断を受けやすくなります。さらに、短時間でなされる検査は、患者の負担を軽減するだけでなく、医療現場の効率化にも貢献します。これにより、認知症の早期発見が進むことが期待されています。
臨床試験の経過
本機器は、2025年2月に厚生労働省によるプログラム医療機器調査会で優先審査の対象とされており、臨床試験を通じて2026年度の承認取得を目指します。臨床試験が順調に進めば、より多くの医療現場において、認知機能検査が導入される可能性があります。
今後の展望
FRONTEOと塩野義製薬は、この製品が医療現場において有効に機能することを目指し、両社の強みを生かしてさらなる研究開発を進めていくことを表明しています。AI技術を活用した診断支援モデルの開発にとどまらず、医療機器の開発やその社会実装に照準を定めています。これにより、患者のQOL(生活の質)の向上と、医療の質の向上を目指して、さまざまな医療分野への適用が期待されています。
結論
今回の臨床試験が成功すれば、FRONTEOと塩野義製薬のAI技術は医療現場における革新をもたらし、多くの患者に貢献することができるでしょう。AIによる革新的な医療の未来が、今まさに幕を開けようとしています。