国立大学法人千葉大学と複数の大学、企業からなるグループが、低純度のアルミニウムスクラップを高純度なアルミニウムにリサイクルする研究開発に乗り出しました。このプロジェクトは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の先導研究プログラムに採択され、脱炭素社会の実現に向けた重要なステップです。
背景と目的
アルミニウムは軽量で強度があり、多くの産業で利用されています。しかし、過去には低純度のスクラップが廃棄されてしまうことが多く、この部分のリサイクルは環境問題として無視できませんでした。新たに採択された研究開発は、廃棄物を減らし、CO2の排出量も削減することを目指しています。
研究手法
この新しいリサイクル手法は、低温型電解法を利用します。一般的な方法では約1,000℃でアルミニウムを精製しますが、今回の技術では150℃以下での処理が可能です。これにより、消費電力を25%以下に削減でき、CO2排出量の大幅な削減も見込まれています。
今後の展望
研究は2024年度から2年間の予定で行われ、その後の中間評価次第ではさらに1年の延長が見込まれています。最終的には国家プロジェクトや産学の共同開発を経て、社会に実装されることが期待されています。
また、この技術が実用化されることで、廃棄物の再生利用が進み、サステナブルなアルミニウム供給が実現することになるでしょう。
産官学連携の意義
このプロジェクトには、国立大学法人多大学と株式会社UACJ、日本軽金属など、幅広い分野の企業・研究機関が参加しています。産官学が連携することで、実現可能な技術の開発だけでなく、地域経済への貢献も期待されています。
結論
今後、アルミニウムのリサイクル市場は、新たな技術革新によって大きく変わる可能性を秘めています。このプロジェクトの進展により、環境配慮の観点からも重要な役割を果たすことが期待されます。持続可能な社会の構築に向け、私たちはこの研究開発を注視していく必要があるでしょう。