次世代ラボの実現に向けた取り組み
近年、科学技術の発展とともに、次世代ラボの必要性が高まっています。その背景には、データの取得・管理・解析における効率化が求められる現状があります。このたび、三菱ケミカルグループと一般社団法人日本分析機器工業会(JAIMA)が共同で、次世代ラボの実現に向けた重要な一歩を踏み出しました。具体的には、異なるプラットフォームの機器間でも互換性を持たせる通信規格「Laboratory and Analytical Device Standard」(LADS)を導入し、評価を行うこととなりました。
デジタルトランスフォーメーションの推進
現在の研究開発現場では、実験機器がスタンドアロンで運用されることが多く、外部との通信が難しいという現実があります。また、各メーカー独自の通信プロトコルが課題となっており、このためにラボのデジタル化や自動化が妨げられています。こうした状況を打開することが、両者の共同での取り組みの目的です。
LADSは、OPC UAというオープン標準規格に基づいており、安全かつ信頼できるデータ交換を可能にします。この規格を導入することで、実験機器を「プラグ&プレイ」で接続し、迅速なデータの取得や遠隔監視が実現されます。これにより、複数の実験機器や研究者間でのより効率的な連携が可能となり、研究開発のスピードを飛躍的に向上させることが期待されています。
研究開発の加速に貢献
三菱ケミカルグループとJAIMAは、このプロジェクトを通じて、研究開発に適した柔軟な次世代型ラボシステムの構築を目指しています。具体的には、デジタル化の移行を効率化し、材料開発の時間とコストの削減を図ります。
また、LADSの普及を加速するために、2024年9月に開催予定の「JASIS」にて、その取り組みを広く紹介する予定です。これは、分析機器や科学機器の最新技術を一堂に会し、展覧する重要な機会となります。JASISは、業界の専門家や研究者が集まる場であり、次世代ラボ構想の重要性を広める貴重なチャンスです。
これらの取り組みが実現すれば、より安全で効率的な研究開発の環境が整うだけでなく、今後の科学技術の発展にも寄与することでしょう。私たちは、このプロジェクトから目が離せません。