タイにおける水素利活用モデルの確立
本田技研工業株式会社(以下、Honda)と日鉄物産株式会社(以下、当社)は、タイにおける地産地消型の水素利活用モデルの確立に向けた調査事業を開始します。このプロジェクトは、燃料電池技術を持つHondaと、ロジャナ工業団地を運営する当社が共同で進め、太陽光発電を利用して製造したグリーン水素を入居企業に普及させることを目的としています。
この取り組みは、5520年のカーボンニュートラルの実現を目指すタイのエネルギー政策にあたるもので、水素の利用促進が含まれています。具体的には、工業団地内での水素の製造から活用、さらには温室効果ガスの排出削減へとつながるエコシステムの構築を目指しています。
調査事業の概要
この調査事業は、以下のような活動を含みます。まず、ロジャナ工業団地内で太陽光発電を使用した水素の製造や貯蔵、輸送の方法を検討します。その後、Hondaはこの水素を定置用燃料電池電源や商用車へと活用し、入居企業に普及していくことを検討します。
具体的な検証項目としては、技術要素や関連する政策、法規制の調査、事業の採算性、資金調達の可能性、実施体制やビジネスモデルの検討を行います。また、マーケット調査や普及展開計画も重要な要素として位置づけられています。
Hondaの水素事業のビジョン
Hondaは、2050年のカーボンニュートラル社会を見据え、30年以上にわたり水素技術や燃料電池の研究を進めてきました。現在、エネルギーキャリアとしての水素の利用拡大を目指し、燃料電池システムの進化を牽引しています。
特に、Hondaは燃料電池自動車(FCEV)や商用車、定置電源、建設機械といった複数のコアドメインでのシステム活用を模索し、他社との連携を強化しています。これにより、多様な業種が共存するエコシステムの実現を目指しているのです。
ロジャナ工業団地の特色
ロジャナ工業団地は、1988年に設立され、世界水準のインフラを備えたタイでも有名な工業団地です。2024年6月時点で400社以上の企業が入居しており、その中には150社以上の日本企業も含まれています。日鉄物産は、この工業団地の約21%を出資し、電気や水などのインフラ開発にも積極的に関与しています。
これらの取り組みを通じて、水素利用の普及を図り、持続可能な社会の実現に寄与していくのが本事業の狙いです。さまざまな企業の協力により、新たなエネルギー利用のモデルを確立し、世界の環境問題解決に貢献することで、次世代のビジネスモデルを確立することが期待されています。