岡山大学が光合成のメカニズムに迫る新たな発見を報告
2026年2月8日、岡山大学より、光合成に関する重要な発見が発表されました。研究チームは、ゼニゴケ(Marchantia polymorpha)から光化学系I(PSI)-クロロフィルa/b結合タンパク質(LHCI)の超複合体の構造を解明し、特に二量体の構造に関する新たな知見を得ました。これは、植物の進化を理解する上で重要な発見とされています。
研究のポイント
ゼニゴケは原始的な陸上植物の一つであり、光合成のメカニズムを解明するための重要なモデル生物とされています。今回の研究では、ゼニゴケ由来のPSI–LHCI単量体と二量体をそれぞれ解析し、高い分解能でその構造を明らかにしました。特に、単量体の構造は1.94Åと非常に高い分解能で、内部の水分子の配置まで確認できました。
また、二量体の構造は、これまでの緑藻由来の構造とは異なり、PSIコア同士が直接結合しているという新しい形態が発見されました。この新しい結合様式は、PSIが進化の過程でどのように変化してきたのかを理解する手がかりとなるでしょう。
研究の背景
光化学系Iは、光エネルギーを利用してNADPHを生成する、植物の光合成において重要な役割を果たしている複合体です。これまで陸上植物のPSIは単量体の構造のみが解明されてきましたが、今回の研究により二量体の構造が世界で初めて明らかになりました。
岡山大学の研究チームには、蔡弼丞助教、Romain La Rocca助教、沈建仁教授、秋田総理准教授、本瀬宏康准教授など、多彩な専門家が参加しています。研究には、岡山大学異分野基礎科学研究所国際構造生物学研究センターのクライオ電子顕微鏡が利用され、これにより高分解能のデータが得られました。
研究の意義と今後
この研究は、単量体と二量体の構造の違いから得られた知見を通じて、ゼニゴケのPSI-LHCI超複合体の進化に対する理解を深めるものです。特に、二量体の形成に重要であるサブユニット(PsaB/PsaG/PsaH/PsaM)の役割が明らかになったことは、今後の研究に大きな影響を与えると考えられます。
また、主要な励起エネルギー移動経路の同定も行われ、単量体と二量体での違いがないことから、二量体が光エネルギーの高密度化に寄与していることが示唆されました。この成果は、今後の植物研究や光合成技術の発展にも寄与することが期待されます。
研究結果は、2026年2月5日に英国の学術雑誌「Communications Biology」に掲載され、国際的な評価が高まりつつあります。本研究は、日本学術振興会や地域中核研究の支援を受けて実施されました。
今後も岡山大学は、この重要なテーマに関してさらなる研究を進め、植物の光合成メカニズムの解明や、その進化の過程に関する理解を深めていくことでしょう。