晩婚化が影響するおひとりさま物件の新たなニーズを探る
近年の日本社会において、晩婚化や未婚化が進行する中で、「おひとりさま物件」の需要が急増しています。株式会社LIFULLが運営する不動産情報サービス「LIFULL HOME'S」が行った調査によると、この変化に伴い、自分に合った住宅のスタイルが求められています。特に、東京都をはじめとした都市部ではこの傾向が顕著です。
日本の未婚化と単身世帯の増加
ジューンブライドの季節が近づく一方で、独身生活を選択する人々が増えています。2000年には約1,291万世帯だった「単独世帯」は、2020年には2,115万世帯に達し、全世帯に占める割合も約38%を占めることが確認されました。国立社会保障・人口問題研究所によれば、2050年にはこの割合が44.3%にまで増加すると予測されています。これは、単独世帯が今後の日本の住宅市場において重要な位置を占めることを示しています。
おひとりさま物件のニーズとは
LIFULL HOME'Sが行った調査では、特にシングル向けの中古マンションへの問い合わせが増加傾向にあることがわかりました。2022年において、東京都心の問い合わせ数は直前のコロナ禍から急激に回復し、特に東京23区での需要は全体の40%を超えました。これまでのファミリー向け物件とは異なり、今では一人暮らしに適した間取りや設備を備えた物件が注目を浴びています。
未婚者の住まいに関する意識調査
東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県に在住する20代から40代の未婚者に対する調査から、結婚願望の有無によって住まいの選び方が異なることも明らかになりました。例えば、結婚願望のない人では、最も多くの方が実家で生活している一方、結婚願望のある人では、「新築戸建て」を選択する傾向が強いことがわかります。また、それぞれの方が重視するポイントにも違いが見られ、「駅からの近さ」を重視するのは結婚願望がある人が多く、結婚願望がない方は「間取りや家の広さ」を重視する傾向が強いことが特徴です。
おひとりさま物件の選び方の変化
さらに、物件の購入理由にも違いがあります。例えば、「結婚願望なし」と答えた方の中には「特に理由はない」という意見が多かったのに対し、「購入を検討したい」と回答した人々は「自分のマイホームを持ちたい」という意見が圧倒的に多かったです。このように、未婚者の物件への期待や希望は変化してきているのです。
安全で安心な住まいの必要性
現在の社会状況を反映し、LIFULL HOME'Sに寄せられるシングル向け物件への需要は高まっています。特に、老後の住まいの確保や生活の安定を重視する傾向が見られ、購入しやすい物件が求められています。これは、単独世帯の増加に伴い、地域のつながりを持ちながら生活することの大切さを反映していますおひとりさまのためのソーシャル・アパートメント型住宅の普及も求められる時代に突入しています。
まとめ
LIFULLの調査によると、おひとりさまが長く安心して暮らせる住まいのニーズは高まっており、今後ますますその重要性が増すことが予想されます。社会の変化に応じた住宅の選び方が進化する中で、これからの日本の住宅市場がさらに発展していくことが期待されています。