アスタチン創薬の国際的展開が本格化
アルファフュージョン株式会社(本社:東京都千代田区、CEO: 藤岡直)は、米国のCuradh MTR社との戦略的提携を発表しました。この提携は、放射性医薬品「アスタチン-211(At-211)」を用いた国際的な開発推進を目指したもので、今後の臨床開発を根幹にして、治療薬の商業化を共に進めていくことが決定されています。
アスタチン-211の特性に注目が集まる
At-211は、TAT(Targeted Alpha Therapy)で期待される最も有望なα線放出核種の一つとして世界的に評価されています。その約7.2時間の中程度の半減期は、低分子やペプチド、抗体フラグメントなどの短寿命キャリアとの組み合わせに最適であり、効果的な腫瘍への集積を可能にしつつ、周囲の非標的組織への放射線被曝を最小限に抑えることができます。さらに、At-211は単一の高エネルギーα粒子を放出するシンプルな特性を持つため、安全性と治療効果のバランスに優れています。この点は、最新のレビュー論文でも高く評価されています。
日本がリードするAt-211研究
At-211をテーマにした学術論文は、日本が世界をリードしていることを示しています。この提携により、日本発の基礎研究が米国などの国際市場で実用化される道が拓かれることが期待されます。国際学会での発表を通じて、両社は提携の重要性を強調し、治療薬の開発に向けた進展を加速させていくことを目指しています。
各社のコメント
アルファフュージョンの藤岡CEOは、「At-211の研究開発を加速し、国際的な供給体制の構築も図っていく」と述べ、Curadh社のグレン・カゾCEOは、At-211が次世代放射性医薬品の分野で極めて重要な役割を果たすと期待しています。
これにより、放射性医薬品の国際市場への展開が大きく前進することが望まれます。特に、米国では高い需要が見込まれており、両社の協業によって、がん治療に革新をもたらすことが期待されています。
国際的な評価の拡大
この提携は、スタンフォード大学と北カリフォルニア・ジャパン・ソサエティが共催する「2025 Japan–U.S. Innovation Awards」においても評価され、Innovation Showcase企業に選出されました。これは、グローバルなインパクトが期待される日本発のスタートアップとして認められた証です。
未来への展望
アルファフュージョンは、At-211を用いた放射性医薬品の開発を加速し、将来的な癌治療において重要な役割を果たすことを目指しています。この提携を通じて、At-211を用いた新しいがん治療の可能性が具体化されることが期待されます。
アルファフュージョン株式会社について
アルファフュージョンは、大阪大学および国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の研究成果に基づき、アスタチン創薬を推進しています。標的α線核医学治療に特化し、アスタチンの治療ポテンシャルを最大限に発揮することをミッションとしています。
Curadh MTR社について
Curadh MTR社は、前立腺がん治療薬「Pluvicto®」など、革新的な放射性医薬品の開発を手掛けています。彼らの専門性と実績が、今後のAt-211の展開を加速させることでしょう。