八王子市が画期的なSIB導入
八王子市は、健康寿命の延伸や生活の質向上を目指し、日本初となるソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)の出資契約を締結しました。これは、特に大腸がん検診の受診率が低い層を対象にした事業で、AIを活用したオーダーメイドの受診勧奨を行います。これにより、がんの早期発見を促進し、結果的に医療費の適正化を図ることを目的としています。
今回の取り組みは、2016年度経済産業省のSIB導入モデル事業から発展したものであり、2017年3月には八王子市の予算が成立しました。そして、同年5月1日に市と株式会社キャンサースキャンは、日本初の成果連動型支払契約を締結し、今回のSIBの組成が実現しました。
SIBとは?
ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)は、行政が民間資金を活用して社会課題解決に向けた事業を行う、新しいビジネスモデルです。実施した事業の成果に応じて行政から成果報酬が支払われる仕組みであり、事業の資金負担は民間が行います。そのため、事業者は価格ではなく成果を重視しながら柔軟にサービスを提供できるようになります。
SIBは2010年にイギリスで導入され、その後、欧米中心に60以上のプロジェクトが進行しています。日本でも、2017年度から経済産業省や厚生労働省がSIBを用いたモデル事業を推進しており、益々注目を集めています。
本事業の詳細
本事業は、以下のような体制で推進されます。
- - 事業名:八王子市SIB導入モデル(大腸がん検診受診率向上)
- - 事業者:株式会社キャンサースキャン
- - 出資者:一般財団法人社会的投資推進財団、株式会社デジサーチアンドアドバタイジング、個人投資家の黒越誠治氏
- - 予算規模:8,874,000円
この事業を通じて、八王子市の住民に対する大腸がん検診の受診率を向上させることが期待されます。医療費の適正化に貢献し、地域の健康を支えると同時に、他の社会課題解決にもSIBが広がっていくことが期待されています。
今後の展望
SIBは、医療分野にとどまらず、教育や就労、介護などの領域でも活用の可能性があります。この仕組みを全国的に広げていくことで、より高い成果を出す事業者に資金が投入され、さまざまな社会的課題を解決することができると期待されています。八王子市の取り組みが成功すれば、他の地域にも波及し、全国的な社会課題解決の運動に繋がるかもしれません。
この新しい試みが、地域の健康と生活の質を向上させる一助となることを願っています。