不整脈治療の未来
2026-09-15 11:55:01

不整脈治療に新たな道筋を示す3Dマッピング技術の可能性

不整脈治療における新技術の可能性



心拍が急に速くなり、動悸や息苦しさを引き起こす不整脈にはさまざまな種類がありますが、特に「房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)」はその代表的な疾患とされています。この病気は心臓内での異常な電気信号が特定の回路内を循環することから生じ、患者には突如として強い不快感をもたらします。これまで、不整脈に対する治療法として広く行われてきたのが「カテーテルアブレーション」で、異常な電気信号の経路を焼灼して治療するものです。しかし、AVNRTには一般的なタイプとは異なる「非典型AVNRT」が存在するため、これまでの治療法だけでは対処が難しい場合があります。

このような状況を打開するため、前田真吾医師が率いる研究チームが注目したのが、心臓内部の電気信号の動きを立体的に視覚化できる画期的な技術、三次元電気解剖学的マッピング(3Dマッピング)です。この技術を用いることで、非典型AVNRTの電気信号が心房に出て行く「出口」をより詳細に分析し、治療の精度を向上させることが期待されます。研究成果は、2023年に循環器不整脈領域の専門誌「JACC: Clinical Electrophysiology」に掲載され、多くの注目を集めています。

3Dマッピングの導入とその成果



研究チームは非典型AVNRTを患っている14例、合計19種類の頻拍を対象に、3Dマッピングの実施に取り組みました。具体的には、電気信号の出口として確認されたのは2つの重要な経路:冠静脈洞側にある「左下方進展(LIE)」と三尖弁輪側の「右下方進展(RIE)」です。驚くべきことに、一部の患者には両方の出口が存在することを確認できました。

特に注目すべきは、右下方進展(RIE)が多くの症例で不整脈の回路に関与していたことです。これまであまり認識されていなかった出口が約50%の症例に関わっていることが明らかになり、従来の治療法では見逃されやすかった場所を3Dマッピングによって検出する可能性が示されました。この新技術により、より正確に治療のターゲットを特定できる道が開かれたのです。

治療の成功率と今後の展望



実際の治療においては、特定された出口をターゲットとし治療を行った結果、14例中13例(93%)でAVNRTの治療が成功しました。加えて、治療中に合併症は一切認められることはありませんでした。これにより、今後は患者個々の電気信号の回路を3Dで解析し、実際に異常信号が通る場所を特定して治療する考え方が確立されることが期待されます。

このパラダイムシフトにより、局所的な電気信号に頼った従来の手法から、冠静脈洞や三尖弁輪を広く探索し、LIE・RIEといった新たな出口を直接ターゲットにする治療方法に変化がもたらされるでしょう。

東京昭和医院の概要



研究を主導した東京昭和医院は東京都港区に位置する医療機関で、内科や循環器内科等の保険診療に加え、予防医療や再生医療、健康診断などを提供する総合的な医療機関です。総院長の前田真吾医師は、今後も今までにない治療法の発展に寄与し、多くの患者の助けとなることを目指しています。

今後も、より多くの患者を対象とした研究や、長期的な経過観察を通じて、非典型AVNRTに対するより精密で個別化されたカテーテル治療の確立が期待されます。

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