新鉱物「不知火鉱」発見
2024-07-01 11:37:50

熊本県で新鉱物「不知火鉱」発見!世界的にも珍しいプラチナ系砂白金鉱床から

熊本県で新鉱物「不知火鉱」発見!世界的にも珍しいプラチナ系砂白金鉱床から



熊本県美里町で採集された砂白金から、新種鉱物「不知火鉱(しらぬいこう)」が発見され、国際鉱物学連合から正式に承認されました。この発見は、東京大学物性研究所の浜根大輔技術専門職員、鉱物研究家の田中崇裕氏、新町正氏の共同研究によるものです。

発見された「不知火鉱」は、熊本県の古称「火の国」の伝承にちなんで命名されました。この鉱物は、銅(Cu)、ロジウム(Rh)、硫黄(S)を主成分とするスピネル族に属する新鉱物で、砂白金粒子に抱きかかえられるような形で産出しています。

「不知火鉱」が発見された鉱床は、研究グループが2019年に発見した日本で唯一のプラチナ系砂白金鉱床です。この鉱床は、輝石岩体が広がる地域に位置しており、世界的にもプラチナ系砂白金の産地に見られる特徴を備えています。

この鉱床からは「不知火鉱」を含め、すでに3種類の新鉱物が発見されており、世界的にも特異な鉱床とされています。しかしながら、鉱床規模は小さく、現時点では資源利用は難しいと考えられています。

プラチナ系砂白金鉱床とは?



砂白金は、白金族元素と呼ばれるルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、プラチナなどを含む鉱物です。白金族元素は、融点が2000℃を超えるオスミウム、イリジウム、ルテニウムと、2000℃を超えないロジウム、プラチナ、パラジウムに分けられ、産出箇所も異なります。

イリジウム系砂白金鉱床は、オスミウム、イリジウム、ルテニウムを多く含み、北海道に多く分布しています。一方、プラチナ系砂白金鉱床は、ロジウム、プラチナ、パラジウムを多く含み、日本ではこれまで発見されていませんでした。

美里町で発見された鉱床は、日本で初めて、かつ唯一のプラチナ系砂白金鉱床であり、研究グループは今後、埋蔵量や成因についてさらに詳しく調査していく予定です。

新鉱物の発見が示す意義



「不知火鉱」の発見は、日本の地質学研究にとって大きな成果であり、今後、さらなる新鉱物の発見や鉱物資源の利用可能性を探る研究が進むことが期待されます。また、プラチナ系白金族元素は、触媒など様々な分野で利用されており、希少な国内資源としての重要性も高く、今後の研究成果が注目されます。


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