カンボジア教育改革に寄与する日本発の授業研究教材
近年、カンボジアでは産業の高度化に伴い、専門的な技術に加えて、コミュニケーション能力や問題解決力、主体性といった「ソフトスキル」の重要性が高まっています。そうした中、認定特定非営利活動法人SALASUSUは、カンボジア労働職業訓練省と協力し、2021年11月から約4年間にわたって「職業訓練校のソフトスキル研修能力向上事業」を推進してきました。その成果として、教師向け実践ハンドブック『Nurturing Soft Skills in TVET』が作成され、最近、同省の承認を受けて公開されました。
教材の位置づけと成果
このハンドブックは、カンボジアの職業訓練校での教育において、教師が実践的なソフトスキル教育を継続的に行える環境を整えることを目指すものです。事業の初期段階では、カンボジア全土での展開を計画していましたが、途中で方針を見直し、タケオ校とシェムリアップ校の2校に焦点を当て、手厚い支援を行いました。
特に、授業改善を促進するために採用した「授業研究(Lesson Study)」は、教師同士が集まり、互いの授業を観察し、意見交換を行いながら改善点を見出す手法です。この取り組みを通じて、教師たちは単に学生の理解度について気にするだけでなく、学生同士の相互関係や学習環境にも目を向けるようになりました。その結果、参加校からは52件の授業改善が報告されました。
ハンドブックの活用
ハンドブックには、ソフトスキル教育の理念、授業研究の進め方、具体的な授業改善の実践事例などが含まれています。この教材は対象の16校に配布され、今後の教員研修や学校内での教え方の改善に活用されることが期待されています。また、モデル校であるタケオ校とシェムリアップ校では、事業が終了した後も授業研究を継続することが決定され、持続的な教育改善に向けた道筋が作られました。
SALASUSUのビジョンと今後の展望
個々の子どもたちが自分の可能性を最大限に引き出せる環境づくりを目指すSALASUSUは、今後も教育現場に持続的な変化をもたらす取り組みを続けていくことを誓っています。同団体は、教育改革を進める中で、教育行政や学校との連携を強化し、より良い学びの機会を提供することによって、若者が社会で活躍できる力を身につけられるような支援を行っていきます。
このように、カンボジアにおけるSALASUSUの取り組みは、単なる教育の改善にとどまらず、持続可能な社会を築くための重要な一歩となっています。今回の成功を受け、他国でも同様の取り組みが広がることが期待されます。