豊田中央研究所、リチウムイオン電池のリサイクルを安全に！発熱リスクを抑制する新技術「iSleepTM」開発

リチウムイオン電池のリサイクルを安全に！豊田中央研究所が開発した新技術「iSleepTM」

地球環境問題への関心の高まりと共に、リサイクル技術の重要性が高まっています。特に、電気自動車やスマートフォンなど幅広い分野で活用されているリチウムイオン二次電池（以下LiB）は、その資源の有効活用と安全なリサイクルが大きな課題となっています。

従来のLiBリサイクルでは、解体・破砕時に残存電圧による発熱や、析出したリチウム金属による発火・爆発といったリスクがありました。これらのリスクを低減するためには、LiBを安全な状態に「不活性化」する前処理が不可欠です。

この課題に対して、株式会社豊田中央研究所は、新たな電池不活性化技術「iSleepTM」を開発しました。本技術は、廃棄LiBにレドックスシャトル剤（RS剤）を添加することで、残存電圧を0V近くまで放電させると同時に、析出したリチウム金属を溶解させるという画期的なものです。

「iSleepTM」の仕組み

「iSleepTM」では、正極と負極を電気化学的に内部短絡させることで、残存電圧を効率的に放電します。同時に、RS剤が析出したリチウム金属を溶解させることで、発火・爆発のリスクを抑制します。

研究成果

「iSleepTM」は、LiBのリサイクルプロセスにおける安全性向上に大きく貢献する技術です。本技術により、資源の有効活用だけでなく、リサイクルプロセスにおける環境負荷低減にも貢献することが期待されます。

今後の展望

豊田中央研究所は、「iSleepTM」のさらなる研究開発を進め、より安全で効率的なLiBリサイクル技術の実用化を目指しています。将来的には、本技術が社会実装され、持続可能な社会の実現に貢献することが期待されます。

注目のレドックスシャトル剤

「iSleepTM」で使用されるRS剤は、フェノチアジンという物質です。フェノチアジンは、電池内部で酸化還元反応を繰り返すことで、正極と負極の間を電子がスムーズに移動するのを助けます。この反応によって、LiBの残存電圧を効率的に放電することが可能になります。

リサイクル技術の進化が加速

豊田中央研究所の「iSleepTM」開発は、リサイクル技術の進化を加速させる画期的な成果と言えるでしょう。今後も、様々な分野で革新的なリサイクル技術が開発され、持続可能な社会の実現に貢献していくことが期待されます。

リサイクル技術革新への期待

豊田中央研究所が開発した「iSleepTM」は、リチウムイオン電池のリサイクルにおける安全性を飛躍的に向上させる技術として、大きな期待を集めています。従来のリサイクルプロセスでは、発熱や発火といったリスクが課題でしたが、「iSleepTM」によってこれらのリスクを大幅に軽減できる可能性があります。

この技術は、リチウムイオン電池の資源循環を促進するだけでなく、リサイクルプロセスにおける環境負荷の低減にも貢献する可能性を秘めています。廃棄電池の安全な処理とリサイクルの効率化は、資源の有効活用と環境保護という重要な課題に対する有効なソリューションとなるでしょう。

持続可能な社会への貢献

「iSleepTM」は、リチウムイオン電池のリサイクル技術の進化を加速させるだけでなく、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを加速させる可能性を秘めています。リチウムイオン電池は、電気自動車やスマートフォンなど、私たちの生活に欠かせない様々な製品に利用されています。これらの製品の寿命が尽きた後も、安全かつ効率的にリサイクルすることで、貴重な資源を有効活用し、環境への負荷を低減することができます。