滋賀県の野外水域で観賞魚メダカが初めて確認される
近年、観賞魚ブームが続く中で、意図的な放流が原因でさまざまな品種の観賞魚メダカが全国各地で見られています。これに伴い、特に重要なのは、このような個体が在来の生態系に与える影響です。2023年7月30日、滋賀県大津市の池と、2024年4月29日に琵琶湖南湖の湖岸で観賞魚メダカが発見され、これは滋賀県初の記録となりました。
研究グループの成果とその影響
今回の研究は、龍谷大学生物多様性科学研究センターの伊藤 玄客員研究員と滋賀県立琵琶湖博物館の川瀬成吾学芸員らによって行われました。観賞魚メダカは、その美しさから非常に人気がありますが、野外への放流は遺伝的攪乱を引き起こす恐れがあり、これは特に危険です。研究チームは、池で採取した3個体を“青メダカ”、南湖で採取した個体を“青体外光メダカ”と特定しました。
個体の特性と環境
南湖で採取された青体外光メダカは、強スーパー光として知られ、背面には虹色の素胞が広範囲にわたって発現しています。この美麗な個体は、観賞用として高い価値があります。しかし、青メダカの採取場所は小規模な池であり、外部の水路とは接続していないため、何らかの理由で人為的に移植された可能性が高いです。
特に注目すべきは、青メダカの3個体のうち1個体に脊椎骨の湾曲が見られ、これは奇形と見なされています。このようなハネ個体の放流現象は、近年の他の地域でも確認されており、主に選別された個体がそのまま野外に放流されています。
生態系への懸念と今後の対策
観賞魚の放流が進む中で、特に在来のミナミメダカとの遺伝的攪乱が懸念されます。この観賞魚メダカがもたらす影響を深刻に受け止め、これからの観賞魚の放流には慎重さが求められます。研究チームは、観賞魚の放流に関する啓発活動を行うことや、地域の生態系の保護を徹底する必要があると考えています。
研究の掲載情報
この研究成果は、雑誌『淡海生物』に掲載され、特に観賞魚メダカに関連した重要な見識を提供しています。研究者たちは、観賞魚の人気や需要が高まる中でも、生態系への影響を無視してはいけないと強調しています。
このような事例を通じて、今後も観賞魚の放流に対する警鐘を鳴らし続けることが求められています。観賞魚を楽しむことと在来生態系を守ること、この両立を図るための更なる取り組みが期待されます。