2023年11月14日、福岡県久留米市にて、アディーレ法律事務所主催の講演会が開催されました。この講演は、特にスマートフォンやSNSの利用が日常的になっている高校生を対象とし、「SNSトラブルに巻き込まれないために」と題して行われました。主に若い世代がインターネットの危険性を理解する手助けをすることを目的とした法教育プロジェクトの一環として実施されたものです。
この日は弁護士の長井健一氏が、デジタルタトゥーの危険性や、増加傾向にある闇バイトの実態について具体的な事例を交えながら講演しました。長井弁護士は、SNS上での匿名性の誤解や、無邪気に共有された情報がどのように拡散し、後悔を生むかについて強く警告しました。特に、
1. SNSトラブルのエスカレーションと「言葉の暴力」
長井弁護士は、LINEなどSNS上でのいじめ事例を紹介し、初めは軽い気持ちの発言がどのように深刻な結果につながるかを説明しました。言葉の暴力は時に人の命を奪う力すら持つと語り、無責任な「いいね!」や「シェア」が名誉毀損や侮辱罪に問われる可能性があることを参加者に伝えました。
2. 不適切動画のリスクと「闇バイト」の誘惑
さらに、「スシロー事件」等の不適切動画投稿の事例を挙げ、これがもたらす法的リスクについても触れました。特に、24時間で消える機能や裏アカウントを用いた行為が、どう拡散されやすく犯罪の証拠として残るかを警告しました。そして、「闇バイト」についても触れ、高額バイトへの誘いに注意するよう呼びかけました。犯罪に巻き込まれるリスクや、自身の個人情報を守るための早期の相談手段として、「#9110(警察相談専用電話)」を活用する重要性を説明しました。
3. トラブル防止のための「3つの約束」
最後に、長井弁護士はトラブルを未然に防ぐために若者たちに「3つの約束」を提唱しました。これには、ネットは公の場所である意識、他者に対し自分がされて嫌なことはしないこと、問題が起きた場合には一人で抱え込まず大人や相談窓口にすぐに相談することが含まれます。
講演を受けた生徒と教職員の感想
講演後、生徒代表は「普段使っているスマホにはいろんな危険が潜んでいることに気がついた」と述べ、日常の行動に気をつけていきたいと意気込みを語りました。また、教頭先生も「生徒たちはこの内容を真摯に受け止め、スマホの使い方について新たなルール作りを考えるきっかけになった」と強調しました。
この講演を振り返り、長井弁護士は「生徒たちが興味を持って聞いてくれ、各自が自分の生活に活かしてほしいと思ってくれた」と語りました。
アディーレ法律事務所は、今後もこのような啓発活動を通じて、インターネット上のトラブルから子どもたちを守っていく方針です。今回はテレビ西日本の取材を受け、講演内容が広く報道される予定です。
法教育プロジェクトの今後
アディーレは2022年4月以降、全国で60回を超える法教育活動を展開しています。その目的は、法律を知らないために不利益を被ることがないよう、次世代への支援を行うことです。教育現場や関連団体と連携しながら、今後も啓発活動を積極的に進めていきます。