インターステラテクノロジズが新たな衛星通信技術を実現
インターステラテクノロジズ株式会社は、宇宙産業の新たな地平を開く重要な成果を上げました。同社は複数の大学・企業との共同研究を通じて、アレーアンテナを構成する地上原理実験に成功。この技術革新は、スマートフォンなどとの直接通信を可能にし、次世代の高速通信衛星の基盤技術となることが期待されています。
宇宙インフラの提供を目指すインターステラテクノロジズ
インターステラテクノロジズは、北海道広尾郡大樹町を本社に据え、2103年から活動を開始。ロケット事業および通信衛星事業を通じて、「社会で使われる宇宙のインフラを提供する」というミッションを掲げています。特に、超小型衛星群が連携して動くフォーメーションフライト技術を用いることで、高速で大容量のブロードバンド通信を目指しています。
フォーメーションフライト技術の実用性
今回の実験では、1万本から10万本といった超小型衛星が協調して動くフォーメーションフライトの技術が使われました。この技術により、一つの巨大な高利得アレーアンテナとして衛星群を機能させることが可能になります。これにより、微弱な電波を大きな信号に合成したり、強力な電波を送信したりすることができます。
新たな統合技術の必要性
フォーメーションフライト技術によるアレーアンテナは、従来の宇宙用アンテナとは全く異なります。個々の衛星が分離して存在し、無線で接続されるため、通常のアレーアンテナでは用いられない新たな統合技術が求められます。このような新技術がなければ、高利得の通信機能が実現できません。
実験成功の意義
地上原理実験では、衛星間の情報伝送の方法や動作タイミングを詳細に検討。信号処理アナログ集積回路やアンテナも試作されました。結果、スマートフォンとの電波の送受信に成功しました。この実験は規模こそ小さいものの、今後の衛星数の急増に対応可能な技術であり、非結線型フェーズドアレイアンテナ実現に向けた重要なステップとなりました。
今後の展望と取り組み
今後、インターステラテクノロジズはアンテナ性能をさらに向上させ、実用性の高い大型システムの実現に向けて取り組む考えです。2026年2月には、アメリカで開催される国際会議IEEE ISSCCにおいて、本研究の成果が発表される予定です。この会議は半導体技術における世界最大のイベントであり、同社の技術が国際的に注目を集める機会となるでしょう。
インターステラテクノロジズのプロフィール
- - 設立年: 2013年
- - 所在地: 北海道広尾郡大樹町字芽武149番地7
- - 事業内容: ロケットおよび人工衛星の開発・製造・打上げサービス
- - 代表取締役 CEO: 稲川 貴大
インターステラテクノロジズが描く未来の宇宙通信は、多くの人々の日常に直接影響を与える、革新的なものであることが期待されます。私たちの生活を変える次世代技術が、いよいよ手の届くところまで来ているのです。