日本農業の未来を拓く!「100年先の米づくり」を展望する有機稲作の知恵
いま、日本の食卓に欠かせない「米」が、激動の時代を迎えています。米価の高騰、肥料・農薬など資材費の急騰は農家経営を圧迫。さらに、気候変動による異常高温や新たな病害虫の発生など、困難が生産現場に立ちはだかります。持続可能な米づくりへの転換が喫緊の課題です。
こうした状況下で、一般社団法人農山漁村文化協会(農文協)が提唱する「循環型で持続可能な農業」が注目を集めています。その集大成『みんなの有機農業技術大事典』が3月に発売され、刊行記念講座「耕さない農業」には延べ200名が参加し反響を呼びました。この成功を受け、農文協は第2弾として、日本の食料安全保障の根幹をなす「有機稲作」をテーマにした連続講座を企画。半世紀以上にわたり培われてきた有機稲作の技術にこそ、100年先の米づくりを支える解があると確信しています。
伝統と革新が融合する有機稲作の可能性
有機稲作とは、単に化学肥料や農薬を使わないだけではありません。イネ本来の生理を深く理解し、その生命力を最大限に引き出すことで、労力と経費を抑えつつ、農薬に頼らない安定生産を目指します。さらに、田んぼに息づく多様な生きものたちとの共生を重視し、豊かな生態系の中で米を育む思想が根底にあります。『みんなの有機農業技術大事典』には、先進的かつ実践的な技術と、長年の経験を持つ農家たちの貴重な事例が満載。今回の連続講座では、大事典の執筆者たちが登壇し、実践してきた技術とそこから得られた深い知見を惜しみなく語ります。未来の稲作を担う者たちへの羅針盤となることでしょう。
未来の稲作を語る3つのセッション
全3回にわたる連続講座は、それぞれのテーマに沿って、有機稲作の奥深さを多角的に掘り下げます。
第1回:2025年6月26日(木)「除草剤を使わないイネつくり」
有機稲作の最大の課題「雑草対策」。この回では、有機稲作技術を30年探求してきた「民間稲作研究所」を会場に、実践的な抑草法に迫ります。複数回代かきや成苗利用など、多様な水田生物の力を借りた除草技術と、安定多収につながるメカニズムを解説。講師は、イネ15haを手がける有機農家・民間稲作研究所理事長の
舘野廣幸さんと、同研究所技術担当の
川俣文人さんです。対面参加の方には、周辺の実証圃場の見学会も予定されており、現場を肌で感じられる貴重な機会となります。
第2回:2025年7月17日(木)「生きものと一緒の稲作へ」
田んぼの生態系に焦点を当て、生きものと共にある農業技術の可能性を探ります。虫見板を使った減農薬稲作の推進、棚田の生きもの調査、佐渡のトキとの共生実践など、多様なアプローチから「小さな命を見つめる農法」を展望します。登壇するのは、百姓であり思想家である
宇根豊さん。福岡県農業改良普及員時代に虫見板による減農薬稲作を推進し、「田んぼの学校」を全国に広めた第一人者です。そして、新潟県佐渡市で農業普及指導員として活動し、棚田の生きもの調査をライフワークとする
服部謙次さんが、その知見を語ります。会場は農文協戸田事務所です。
第3回:2025年8月21日(木)「草に負けない田んぼをつくる」
有機稲作成功の鍵を握る雑草対策に特化した最終回。秋から始める作業とポイントを詳しく解説。雑草よりイネが優占する「田んぼの状態」をいかに作り出すか、その具体的な方法論を学びます。講師は、自然農法や有機農業による水稲栽培技術の研究・開発に20年以上従事する
三木孝昭さん(公益財団法人自然農法国際研究開発センター専門技術員)。農家からの実践報告も予定されており、理論と実践を繋ぐ貴重なセッションとなるでしょう。会場は農文協戸田事務所です。
参加特典と書籍情報
これらの連続講座は、会場参加とオンライン(Zoom Webinar)形式で実施され、参加費は各回2,500円(税込)です。全ての回を通じて学ぶ方には、お得な割引特典も。全3回通しチケットなら通常7,500円が6,000円(税込)に割引。また、『みんなの有機農業技術大事典』を既に購入済みの方、または講座参加と同時に購入される方には、2,500円(税込)で全3回の受講が可能。見逃した回もアーカイブ視聴が可能です。
この貴重な学びの機会を通じて、激変する時代の中で、いかに持続可能な米づくりを実現していくか。その答えを、ぜひ本講座で見つけてください。詳細は農文協の案内サイトをご確認ください。
【書籍情報】
『みんなの有機農業技術大事典』
定価44,000円(税込)
混植、輪作、天敵・緑肥利用、不耕起、米ヌカ活用、納豆防除など、有機農業の最前線技術が集約された、みどり戦略時代必携の書。
【お問い合わせ先】
一般社団法人農山漁村文化協会(農文協)
所在地:埼玉県戸田市上戸田2-2-2
HP:https://ruralnet.or.jp/