電通総研調査：防災意識は高いけど備えは不足？ DX活用への期待も！

自然災害への危機感は高いものの、備えは不足！

株式会社電通総研が実施した「電通総研コンパスvol.13 これからの防災を考えるための意識調査」の結果が発表されました。この調査は、人々の防災・減災意識や行動、そしてDX（デジタルトランスフォーメーション）の活用に関する現状を把握することを目的としています。

調査結果によると、実に63.0%の人が、自分自身が自然災害に遭う可能性が高いと考えていることがわかりました。これは、日本社会全体が災害リスクへの意識の高まりを感じていることを示唆しています。しかし一方で、具体的な防災対策の実施状況は決して良好とは言えません。

例えば、自宅に家族3日分の食料を備蓄している人はわずか22.1%、災害時に命を守るための自宅の安全対策（耐震・免振工事など）を実施している人はわずか5.5%という結果が出ています。

この調査結果から、多くの人が自然災害への危機感を抱いている一方で、実際に備えを進めている人は少ないという現状が浮き彫りになりました。防災・減災意識の向上と具体的な行動への転換が急務であると言えます。

防災におけるDXへの期待

調査では、防災や被災地支援に役立つデジタルツールやしくみについて、人々の期待度も調査されました。その結果、リアルタイムな気象情報や危険場所の観測、被害状況の確認、家族の安否確認など、デジタル技術を活用した情報提供や支援への期待が高いことがわかりました。

特に注目すべきは、「大雨や台風などの気象情報についてリアルタイムで予測情報が得られるしくみ」に73.5%の人が期待しているという点です。これは、人々が自然災害発生前に的確な情報を入手し、迅速な行動をとるための支援を強く求めていることを示しています。

今後の方向性

電通総研では、今後も定量調査や外部機関との連携を通じて、人々の意識の変化が社会にどのような影響を与えるのかを分析し、発信していくとしています。今回の調査結果を踏まえ、企業や行政は、人々の防災意識向上のための情報発信や啓蒙活動、そしてデジタル技術を活用した防災対策の推進に積極的に取り組む必要性があると言えるでしょう。

防災意識と行動のギャップ：自分ごと化への課題

今回の調査結果からは、防災意識の高さとは裏腹に、具体的な備えが進んでいないという、深刻なギャップが浮き彫りになりました。自然災害は、いつどこで起こるか予測不能であり、他人事と思っていられない深刻な問題です。にもかかわらず、多くの人が「備え」という行動に移せていないという現状は、改めて防災意識の"自分ごと化"の必要性を突き付けています。

では、どうすれば人々の意識を行動に繋げることができるのでしょうか？

まず重要なのは、具体的な情報と行動指針を提供することです。単に「防災の大切さ」を訴えるのではなく、地域特性に合わせた具体的なハザードマップや避難経路、必要な防災用品などの情報を分かりやすく提供する必要があります。

また、防災訓練やワークショップなど、実際に体験を通して防災への意識を高める機会を設けることも有効です。特に、子どもたちへの防災教育は、将来の防災意識の向上に繋がる重要な取り組みです。

さらに、防災に関する情報を発信する際に、人々の関心を引きつけ、共感を得られるような表現方法を用いることも大切です。例えば、災害時の家族の絆や地域住民の助け合いといった、人々の心を揺さぶるストーリーを伝えることで、防災への意識を高めることができます。

DXによる防災対策の進化

今回の調査結果から、防災におけるDXへの期待が非常に高いことがわかりました。デジタル技術を活用することで、より迅速で正確な情報提供、効率的な避難誘導、被災者支援など、これまで以上に効果的な防災対策が可能になります。

しかし、DX導入には、技術的な課題だけでなく、人々の意識改革やデータの利活用に関する制度整備など、様々な課題を克服する必要があります。政府や自治体、企業が連携し、社会全体でDXを推進することで、より安全な社会の実現に繋がるでしょう。