新物質ナトリードの効果
2021-02-01 16:25:41

カイコ由来の新物質ナトリード、認知機能改善に期待

養蚕技術を活用した新物質『ナトリード』について



最近、養蚕技術を応用して得られたカイコ冬虫夏草から新しい物質『ナトリード』が発見され、注目を集めています。この物質は、認知機能の改善に寄与する可能性があるとされており、特に神経細胞の成長促進作用に有効であることが明らかになりました。

ナトリードは、環状ペプチドの一種で、神経細胞の成長を促進するほか、グリア細胞であるアストロサイトやミクログリアの増殖および抗炎症作用にも寄与します。このような機能は、従来のアプローチとは異なり、脳の血流改善と酸化ストレスの軽減によって認知機能を改善するという方法ではなく、細胞間の相互作用を調節する新たな手段を提供します。

老化促進モデルマウスによる研究



研究では、老化促進モデルマウス(SAMP8)を用いて、ナトリードの経口投与が行われました。その結果、わずかな濃度でも空間記憶の回復効果が見られ、ナトリードの経口摂取が脳の機能を改善する可能性を示唆しています。この結果は、ナトリードが新しい認知症治療物質としての潜在力を持っていることを示しています。

共同研究の成果



この研究は、バイオコクーン研究所を中心に、大阪市立大学、九州大学、岩手大学、岩手医科大学などの研究者との共同によるものです。現在、ナトリードを含むカイコ冬虫夏草を用いた臨床研究が進行中であり、軽度認知障害のある患者を対象にした試験が実施されています。

認知症研究の現状



2021年時点で、アルツハイマー病を含む認知症に関する治療薬候補物質は132種類に上るものの、決定的な治療薬は未だに開発されていません。神経細胞と共に脳内にはグリア細胞が存在し、その数は神経細胞の10倍とも言われています。これらの細胞の適切な機能が維持されることが、認知機能を保つためには重要です。

今後の展望



『ナトリード』の発見は、認知機能改善分野における新しいアプローチとして、大きな期待を寄せられています。老化による記憶障害を改善する可能性を秘めているため、今後のさらなる研究が待たれます。バイオコクーン研究所は、ライフサイエンスの分野で少子高齢化社会における課題解決を目指し、ナトリードを通じた新たな治療法の発展を目指しています。

ナトリードに関する研究成果は、国際学術誌「PLOS ONE」にも発表されており、認知症の新たな治療法の開発に向けた希望が広がっています。この新物質の詳細な機能メカニズムや臨床応用に向けた取り組みが、今後の健康科学の進展に貢献することが期待されています。

会社情報

会社名
第一工業製薬株式会社
住所
京都府京都市南区吉祥院大河原町5        
電話番号
075-323-5911

トピックス(科学)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。