日本初の月面サンプルリターンミッションに向けた新たな一歩
株式会社ispace、東京都中央区に位置する宇宙スタートアップ企業は、宇宙空間での資源開発を推進しています。そして最近、同社は株式会社ElevationSpaceと、民間による月面サンプルリターンミッションの実現に向けた基本合意書を締結しました。この合意により、両社は月面からサンプルを持ち帰るための技術開発を共同で進めていきます。
合意内容の詳細
この基本合意に基づき、ispaceとElevationSpaceは月面サンプルリターンを早期に実現するためのステップを加速させます。ispaceは2023年および2025年、二度の月ミッションへの挑戦を通じて、月周回軌道へのランダーの投入技術をすでに実証済みです。現在はこれを基に、ランダーから派生した軌道間輸送機(Orbital Transfer Vehicle、OTV)の開発にも議論をもたらしています。
このOTVとElevationSpaceが開発する大気圏再突入カプセルを組み合わせたミッションが実現することで、サンプルリターンの検証とシステム全体の評価が行われる予定です。両社はまた、日本国内外の政府や宇宙機関、さらには民間企業との積極的なコミュニケーションを通じて、月面サンプルリターンの事業機会を創出することに注力します。
ispaceのビジョンとコメント
ispaceの代表取締役CEOである袴田武史氏は、「月面サンプルリターンは宇宙政策委員会でも重要なテーマとして扱われている」と述べ、同ミッションがシスルナ経済圏の構築に必要な技術であると強調しています。彼はさらに、ElevationSpaceの技術とは月へペイロードを運ぶ輸送機との相乗効果があり、早期実現を目指しますという意欲的な見解を示しました。
ElevationSpaceの視点
一方、株式会社ElevationSpaceの代表取締役CEO、小林稜平氏もこの取り組みに期待を寄せており、大気圏再突入技術とispaceの探査技術の融合が新たな歴史を築く一助になり得ると語っています。彼は「私たちのビジョンに直結する今回の挑戦には、大きな科学的・産業的な価値がある」と述べ、両社が共に新しい宇宙利用時代を切り開くことに意欲的です。
「ポストISS時代」の展望
ElevationSpaceは、「ポストISS時代」に向けて、小型衛星による輸送サービスの開発を進めており、特にフリーフライヤー型の軌道上実証衛星「ELS-R」などを考えています。宇宙での活動が駆け足で進む中、月面サンプルリターンミッションはその中核を成す重要なプロジェクトであります。この取り組みが成功すれば、日本の宇宙開発の新たな扉が開かれることになるでしょう。
未来を見据えた挑戦
ispaceとElevationSpaceの協力による月面サンプルリターンは、日本だけでなく、国際的な宇宙開発の進展にも寄与する可能性があります。両社が協力して進めるこのプロジェクトは、科学研究や技術革新を促進し、更なる宇宙産業の発展に繋がることでしょう。
私たちの生活圏を宇宙に広げ、未来への新たな可能性を切り拓いていく両社の挑戦に、今後の展開に大いに期待が寄せられます。