植物と窒素の新発見
2025-11-06 14:48:02

植物の窒素環境応答に関する新発見が農業に革命をもたらす

植物の高窒素環境応答メカニズムの発見



近年、植物が土壌中の窒素濃度に応じて根の成長を調整する新たなメカニズムが九州大学の研究チームにより発見されました。この研究結果は、今後の農業や作物の成長促進において大きな影響を与える可能性を秘めています。

研究の背景と目的


植物は、その生育環境に応じて根の構造を変化させます。特に、高窒素環境下での根の成長抑制のメカニズムは長年の謎でした。高窒素環境では植物は余分なエネルギー消費を避けるため、根の成長を抑えることが知られていますが、その詳細なプロセスは明らかにされていませんでした。そこで、九州大学大学院理学研究院の楠見健介講師や、伊藤和洋大学院生、園田智也大学院生らの研究チームが、神戸大学や九州工業大学、中部大学、熊本大学との共同研究を通じて、モデル植物シロイヌナズナを使った実験を行いました。

新たなメカニズムの発見


研究の結果、高窒素環境下で根の成長が制御される新しいペプチド、LOHN1が発見されました。このペプチドは、アミノ酸の一種であるグルタミン酸によって地上部から根へ輸送され、高窒素の情報シグナルとして働きます。具体的には、植物が高窒素環境に置かれると、グルタミン酸が篩管を通じて根先端に運ばれ、LOHN1遺伝子の発現を誘導。その結果、LOHN1ペプチドが根の側面に移動し、側根の形成を抑制することが確認されました。

農業への応用可能性


LOHN1遺伝子を欠損させた植物は、高窒素環境でも根の成長が抑制されず、全体の成長が促進されました。この研究結果は、近年問題視されている農地における窒素肥料の過剰施用や利用効率の低さを改善するための新しいアプローチを提供します。農作物の窒素利用効率を改善すれば、持続可能な農業が進むことでしょう。

その他の波及効果


この発見は、他の多くの植物種にも適用可能であり、農業の生産性向上にも寄与すると考えられています。また、LOHN1遺伝子はコケ植物を含む多くの陸上植物に分布しており、高い保存性を示していることから、他の植物にも普遍的に応用できる可能性があります。

まとめ


九州大学の研究によって明らかにされた高窒素環境への応答メカニズムは、農業界において大きな革新をもたらすかもしれません。この成果がもたらす新たな窒素施肥戦略は、持続可能な農業に向けた一歩となることが期待されています。今後の研究や応用に大きな期待が寄せられています。


画像1

会社情報

会社名
国立大学法人熊本大学
住所
熊本県熊本市中央区黒髪2-39-1
電話番号
096-344-2111

関連リンク

サードペディア百科事典: 福岡県 九州大学 植物 窒素肥料

Wiki3: 福岡県 九州大学 植物 窒素肥料

トピックス(科学)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。