シリコンフォトニクス技術革新への道
最近、東京科学大学と東京応化工業株式会社の共同研究により、UVナノインプリント(UV-NIL)を用いた新たなシリコンフォトニクスプロセスが開発されました。この技術は、特に次世代のリソグラフィ技術として注目されており、電子機器における光電融合の可能性を拡げる画期的なものです。
UVナノインプリント技術とは
UVナノインプリントは、ナノスケールの構造を持つ薄膜をシリコン基板に転写するプロセスです。この技術の利点は、大面積を高速で転写できるため、製造コストの削減が可能になる点にあります。これまでのレジスト技術ではコストやスループット面での課題がありましたが、UV-NILがこれを解決する鍵となることが期待されています。
研究の概要
このプロジェクトは東京科学大学の工学院、特に雨宮智宏准教授、永松周学士課程学生、そして西山伸彦教授らの参加により進められました。研究チームは、シリコンフォトニクスプロセスに最適な光硬化性樹脂を開発し、これを使用してSmartNIL®技術に基づくロールオンプロセスを最適化しました。
これにより、従来の90nm CMOSプロセスラインや電子線描画で製作された光導波路と同等の性能を持つシリコン導波路の製造が可能となりました。これまでの研究成果を踏まえることで、将来的には更なる技術革新が期待されます。
効果と応用
今回のプロセスでは、UV-NILの持つ大面積転写性と高スループット性がうまく活かされています。これは光導波路の大量生産における商業的可能性を広げるものであり、半導体業界においても重要な技術的進展となるでしょう。加えて、コスト面でも優位性があるため、企業にとっても魅力的な選択肢になるはずです。
未来の展望
本研究は、東京科学大学内に設立された「東京応化工業未来創造協働研究拠点」において進められており、開発された光硬化性樹脂やプロセスレシピは今後外部に提供される可能性があります。この成果は、2025年1月25日から30日にかけて米国サンフランシスコで開催される「SPIE Photonics West」にて報告される予定です。この国際的な場での発表により、さらなる研究の進展や企業間の連携が促進されることを期待します。
新たな技術の開発は常に未来を切り開く鍵となります。シリコンフォトニクス分野の進化が、私たちの生活にどのような変化をもたらすのか、これからの動向に注目が集まります。