60代の就業事情
2025-02-06 10:46:48

60代就業者の現状と企業の対応:役割認識を問い直す

60代就業者の現状と企業の対応:役割認識を問い直す



株式会社パーソル総合研究所が発表した「正社員として20年以上勤務した60代の就労実態調査」によると、60代の就業率は約9割に達し、フルタイム勤務を維持している層が多いことが浮き彫りとなりました。この調査は、少子高齢化と労働力不足を背景に、高齢者の労働市場での重要性が高まっていることを示しています。

60代の就業率と職務状況



調査によれば、60代前半の就業率は95.8%、後半でも89.3%という高い数値を記録しています。これは、全国的な同年代の労働力調査(2023年)の74.0%を大きく上回る数字です。性別構成比では、特に男性が多く占めており、60代前半では78.0%、後半では82.0%を記録しています。

ここで注目すべきは、多くの60代が継続的にフルタイムで勤務している点です。60代前半の92%、後半の66%が正社員や契約・嘱託社員としての雇用形態にあり、パート・アルバイトは少数派に留まっています。これには65歳までの雇用義務も影響していると考えられます。

経済的な側面



収入面においては、60代前半の継続勤務者は「400~700万円未満」のボリュームゾーンが多い一方、転職者やパート・アルバイトは「200万円未満」がボリュームゾーンとなっています。収入が高い層は主に継続勤務者であり、その結果、安定した経済基盤を持つ就業者が多いことがわかります。

しかし、40%以上の60代就業者は人事評価や昇給制度が適用されておらず、組織の中核人材としての役割が十分に活用されていないことが浮き彫りになっています。

健康と不安



調査対象者の85%は健康に問題がないと答えていますが、就業者のほぼ半数が自身の健康に不安感を抱いています。これは、現代における高齢者の健康問題が深刻化していることを示唆しています。非就業者は健康問題を抱えている割合が高く、これが就業希望者に影響を与えていることも考えられます。

仕事への満足度



興味深いことに、60代前半では約5割の人が現在の仕事に満足していると答えており、後半ではさらにその割合が増加しています。収入が下がったと感じている層の中には、「自分の価値が低下した」「キャリアが終わった」と考える人も多く見受けられ、そのため安定した職務環境や評価制度の見直しが必要です。

一方で、収入が下がらないケースでは「働くことができている」との満足感が高いことが明らかになっています。これからの高齢者雇用において、仕事内容の充実度も求められるのではないでしょうか。

企業への提言



この調査結果を受けて、企業は60代の社員に対する役割認識の再定義と、その評価制度の見直しが急務です。特に、年齢基準で一律に処遇を引き下げるのではなく、役割に応じた柔軟な対応を求められています。また、専門性の高いキャリアデザインを築くために、若年層と同様に育成と評価のプロセスを整備する必要があります。

最後に、加齢に伴う働き方の選択肢の多様性も今後のカギになるでしょう。60代の価値観に合わせて、フルタイムだけでなく、勤務日数や時間を柔軟に調整できるスタイルが求められているのです。このような取り組みによって、60代の社員も自身の価値を見出し、企業の基幹戦力として十分に活躍できるのではないでしょうか。


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会社情報

会社名
株式会社パーソル総合研究所
住所
東京都港区南青山一丁目15番5号パーソル南青山ビル
電話番号

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