新しい血液がん診断
2025-10-14 13:28:47

血液がんの新たな診断基準確立に向けたCREB3L1遺伝子検査の実用化

血液がん新検査の実用化



血液がんと言われる骨髄増殖性腫瘍の診断が、医学の進歩により劇的に改善される可能性が出てきた。順天堂大学大学院医学研究科の小松則夫特任教授と森下総司客員准教授の研究チームは、骨髄増殖性腫瘍患者から得られる血小板RNAにおけるCREB3L1遺伝子の発現量を測定する新たな検査を開発し、株式会社エスアールエル(SRL社)との共同研究を経て、2025年10月1日より一般に利用できる形で実用化することに成功した。

この検査により、骨髄増殖性腫瘍の新しい診断基準が構築され、さらなる治療方法への応用が期待されている。具体的には、血液中のCREB3L1遺伝子の発現量を測定することで、腫瘍性か反応性血球増加症かを区別することができるため、患者に必要のない侵襲的な骨髄検査を避けることが可能になる。

研究の背景



骨髄増殖性腫瘍は、骨髄由来の血液細胞(赤血球、血小板、白血球)が異常に増加する疾患で、造血幹細胞に遺伝子の変異が生じることで発症すると考えられている。初期段階では比較的見逃されやすく、定期健康診断での発見が多い疾患だが、進行すると急性白血病に転化し、厳しい治療が必要となることもある。このため、迅速かつ正確な診断が不可欠だ。

CREB3L1遺伝子(がんの進行に関連する遺伝子)の定量検査を実施することで、より簡便かつ低侵襲での診断が実現できる。従来、診断には侵襲的な骨髄検査が必要とされ、患者の負担が大きいという問題があったが、CREB3L1遺伝子の測定によってその手間を軽減できる。

具体的な検査法



研究チームは、SRL社と共同でリアルタイムPCR法を用いた検査を開発。この方法では、血液を採取し、処理することで、CREB3L1遺伝子の発現量を正確に測定することができる。具体的には、採取した血液を遠心分離し、得られた血漿からRNAを抽出し、その後のPCR反応でCREB3L1の定量を行う。

解析結果では、健常者や反応性血球増加症のサンプルに対し、骨髄増殖性腫瘍患者のサンプルでは明確に高いCREB3L1遺伝子の発現が確認され、その結果はこの検査法の有効性を証明するものになった。そのため、今後、全国の医療機関でこの検査が実施されることを目指していく。

今後の展望



今回の成果を受け、骨髄増殖性腫瘍の正確な診断基準を整えることができる見込みとなった。この新しいバイオマーカー、CREB3L1による検査が全国で普及することで、より多くの患者が恩恵を受けるだろう。さらに、今後はCREB3L1発現量を基準にしたカットオフ値の策定や、治療効果のモニタリングなど、さまざまな臨床的な意義を検討していく予定だ。

研究グループの思い



研究チームのメンバーは、赤血球や血小板が増加している患者に対する正確な診断の重要性を強調している。従来の方法では多くの侵襲的な検査が必要であり、それによる負担が患者にかかっていた。しかし、CREB3L1遺伝子の発見と新しい検査法の開発によって、今後は診断精度の向上が期待され、患者の身体的・精神的な負担が軽減され、さらには医療費の削減につながることが望まれているとのこと。

このように、新しい骨髄増殖性腫瘍の診断手段によって、より正確な診断と患者への負担軽減が実現される未来が待ち望まれている。


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会社情報

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学校法人 順天堂
住所
東京都文京区本郷2-1-1
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