VRでがん患者支援
2020-07-02 10:03:30
VR技術を活用したがん患者支援プログラムの実証実験がスタート
VR技術を用いたがん患者支援プログラムの実証実験
近年のがん患者の増加に伴い、医療現場におけるピアサポート活動が重要視されています。この活動は、同じ病気を経験した患者同士が情報や経験を共有し、互いに支え合うものです。しかし新型コロナウイルスの影響で、対面での交流が難しくなり、SNSやチャット等でのオンライン交流が増えています。これらは便利である一方、対面での交流に比べると密度や充実感に欠ける場合が多いのも事実です。そこで注目されているのが、VR(バーチャルリアリティ)技術です。
VR技術による新たな交流の形
「VRがんピアサポート」は、このVR技術を駆使して、患者同士がまるで対面しているかのように感じられる交流を可能にします。さらに、運動体験も取り入れることで、フィットネスプログラムを通じた身体的な健康維持も促進します。このシステムは主に2つの機能から成ります:
1. 遠隔にいる参加者同士で会話や手の動きを通じて交流する機能。
2. 仮想空間内でフィットネス(上肢運動)を実施する機能。
これらの機能を両立させることで、会話と運動を同時に楽しむことが可能になります。また、フィットネスメニューも日替わりで「ストレッチ」「ボクササイズ」「体幹トレーニング」などが用意されており、それぞれのプログラムに合った仮想空間が提供されます。このフィットネスでは、トレーナーの模範動作をモーショントラッキングで可視化し、リアルな体験を実現しています。
実証実験の開始
この画期的なシステムの実証実験は、東京大学医学部附属病院の協力を得て行われることになりました。医療現場での指導のもと、がん患者が数名参加し、自宅でHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を使用して仮想空間内のフィットネスプログラムや交流機会に参加します。実験は、参加者の健康状態の変化や、ピアサポートの効果を評価することが目的となっています。
今後の展望
実証実験の成果をもとに、今後はさらに多くの機能の追加や、他の疾患や高齢者向けの介護予防プログラムの開発も視野に入れています。また、この取り組みはがん患者だけでなく、様々な疾患に悩む方々への支援モデルとしても期待されています。特に高齢化社会において、在宅での運動習慣を推進するための「オンラインセルフフィットネスシステム」の開発も進められています。
専門医の声
東京大学の住谷昌彦准教授は、がんの患者が抱える問題を解決するためには、医療機関だけの支援では不十分であり、患者同士の支え合いが大切だと述べています。VRの導入により、物理的な距離を越えて患者が気軽に参加できる環境を提供できることが意義深いと強調しています。また、運動ががんに対する予防効果を持つことも着目されています。
この新しい試みを通じて、がん患者が自らの健康管理に積極的に取り組むことができる環境づくりが目指されています。
会社情報
- 会社名
-
カディンチェ株式会社
- 住所
- 東京都渋谷区代官山町14-23セントラル代官山5F
- 電話番号
-
03-6451-3560