マグネシウム合金リサイクル技術
2024-07-16 14:50:50

押出し加工でスクラップを再生!マクルウがマグネシウム合金リサイクル技術を開発

押出し加工でスクラップを再生!マクルウがマグネシウム合金リサイクル技術を開発



軽量金属として注目されるマグネシウム。そのスクラップ材のリサイクル技術が、株式会社マクルウ(本社:静岡県富士宮市)と国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)の共同研究によって開発されました。

従来の再溶解法とは異なり、押出し加工で直接固化・再生する「固相リサイクル法」を採用したことで、エネルギー消費を抑え、リサイクル材の品質劣化も抑制することに成功しました。

背景:増加するスクラップ材とリサイクルの課題



高齢化社会を迎える中、軽量化が求められる福祉介護機器にマグネシウム合金が注目されています。マクルウは、杖や車いすフレームなど、マグネシウム合金製の福祉介護機器を開発してきました。

しかし、マグネシウムパイプの加工需要が増加するにつれて、処理コストの高いスクラップ材の増加が課題となっていました。

従来、マグネシウムスクラップはリサイクル工場に回収され、再溶解法によってリサイクルされてきました。しかし、再溶解法では、新地金には含まれない不純物が混入する可能性があり、再生材の品質が低下してしまうことが問題でした。

また、再溶解には温暖化係数の高いカバーガスを使用する必要があり、環境負荷も懸念されていました。さらに、マグネシウムの新地金の多くは中国からの輸入に頼っており、国内での安定的な資源供給体制を構築するためにも、国内でのリサイクルが重要となっています。

固相リサイクル法:省エネで高品質なリサイクルを実現



マクルウは、これらの課題解決を目指し、産総研と共同で「固相リサイクル法」の開発に取り組みました。

「固相リサイクル法」は、マグネシウム合金スクラップ材を直接押出し加工することで固化・再生する技術です。押出し加工中の塑性加工により、スクラップ材表面の酸化物を破壊し、固化・接合することで、高品質なリサイクル材を再生できます。

本技術は、従来の再溶解法と比べてエネルギー消費が少なく、リサイクル材の品質劣化も抑制できることから、環境負荷の低減と資源の有効活用に貢献します。

実証実験:再生材の性能は新材と同等



共同研究では、マクルウがプロセス技術の開発を担当し、産総研が再生材の機械的特性や耐食性などの評価を担当しました。その結果、固相リサイクル法で再生したパイプ材は、強度、延性、耐食性において、新材とほぼ同等の性能を示すことが確認されました。

今後の展開:機能材への採用を目指し、事業拡大へ



マクルウは、今後、固相リサイクル法を活用したリサイクル材の加工を通じて、構造材としての利用に加え、マグネシウム電池の電極や犠牲陽極棒などの機能材への採用を目指していきます。また、リサイクル工程の効率化による規模拡大も目指しており、マグネシウム合金の循環型社会の実現に貢献していく予定です。


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会社情報

会社名
株式会社マクルウ
住所
静岡県富士宮市山本286-1
電話番号
0544-24-5900

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