新たな資源循環技術の開発
工学院大学の藤井克彦教授が開発した新技術は、下水汚泥や食品残渣といった生物系廃棄物を微生物の力を利用して分解・減容し、エネルギーとしてのバイオガスと、飼料用途の藻類バイオマスを同時に生産するものです。この技術は、持続可能な資源循環を目指しており、環境負荷を低減する可能性があります。
進化したバイオガス生産技術
新技術では、嫌気菌叢を利用してバイオガスを生成します。この過程において、ガス中に含まれる約40%のCO2を除去するため、特定の藻類を利用します。そうすることで、生成されるバイオガスの品質が向上します。この藻類はアルカリ性の環境で高濃度のCO2を固定でき、さらなる効率化が図れます。
新技術の持つ利点
このシステムでは、下水処理の過程で発生する消化汚泥を基質とし、効率的にバイオガスを生成します。また、藻類を異なる槽で培養することで、廃棄物の混入を防止し、実際に養殖魚の餌として利用しても問題ないことが確認されています。これにより、廃棄物処理や飼料資源の問題が軽減されます。
環境に優しい資源循環
常温での反応が進行するこの新技術は、エネルギー消費の抑制や設備の簡素化にも寄与し、社会における持続可能な資源循環の実現を支えるものとして期待されています。
大学見本市での紹介
この技術は、2025年8月21日・22日に東京ビッグサイトで開催される「大学見本市2025~イノベーション・ジャパン」において紹介されます。企業の技術開発担当者や学校関係者など多様な来場者に向けて、最新の研究成果を発信し、技術の社会実装を目指しています。
まとめ
藤井教授が提唱するこの新しい資源循環技術は、畜産や水産業における課題解決に寄与すると同時に、環境への配慮を忘れない技術的革新を提供します。地域資源を有効活用し、持続可能な社会の実現を目指すこの取り組みが、今後どのような成果を上げていくのか注目です。