iPS細胞で血小板製造
2024-09-12 15:29:55

キヤノンが参画するiPS細胞からの人工血小板製造プロジェクトの全貌

iPS細胞を用いた人工血小板製造プロジェクト



近年、再生医療の可能性が注目されており、その中でもiPS細胞技術は数多の医療分野での応用が期待されています。このたび、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の大型プログラムに採択され、キヤノンが中心となってiPS細胞から人工血小板を製造するプロジェクトが始動しました。このプロジェクトは、5年間にわたり重要な医療資源である血小板の安定供給を目指しています。

プロジェクトの概要


本プロジェクトは、京都大学のCiRA(再生医療研究所)および医学部附属病院を中心に、キヤノン、佐竹マルチミクス株式会社、Minaris Regenerative Medicine株式会社、東京慈恵会医科大学、千葉大学、山梨大学など多くの機関が参加しています。事業名は「経済安全保障重要技術育成プログラム/有事に備えた止血製剤製造技術の開発・実証」で、2024年度から2028年度までの予算は総額50億円です。

目的と研究開発の内容


このプロジェクトの主な目的は、高品質な人工血小板を各患者に拒絶反応なく輸血できるユニバーサルな形で開発することです。具体的には、以下のような研究開発が行われます:
1. ヒトiPS細胞から人工的に高品質な血小板を生産する新たな基盤技術の開発
2. 高効率な生産プロセスを通じて、非臨床試験および臨床試験に必要な量の血小板を確保する技術の確立
3. 商業製造に向けた製造管理および品質管理体制の構築
4. ヒトでの有効性や安全性を高精度に予測できる新しい動物モデルによる非臨床試験法の確立
5. 実際の臨床試験を踏まえた有効性や安全性の確認

各機関の役割


このプロジェクトでは、各参加機関の専門分野を活かした役割分担がなされています。キヤノンは、画像診断事業を中心にメディカル事業へ注力しており、再生医療を含むバイオメディカルやヘルスケアIT領域の成長を目指しています。さらに、佐竹マルチミクスは人工血小板の実用化に向けた製造技術の開発を担当し、Minaris Regenerative Medicineは製造管理や品質保証を担います。東京慈恵会医科大学は血小板の品質測定の精密化を進め、千葉大学および山梨大学、京都大学は治験デザインを策定・実施します。

キヤノンの取り組み


キヤノンは、グローバル優良企業グループ構想フェーズVIの下で、積極的に事業ポートフォリオの転換を進めています。彼らは特に細胞を大量に生産できる細胞製造装置の技術開発にも注力しており、再生医療分野での事業成長を目指しています。

このプロジェクトが成功すれば、安定した供給のもとで血小板の輸血が可能になり、医療現場における治療の質向上が期待されます。今後の研究開発の進展から目が離せません。


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会社情報

会社名
キヤノン株式会社
住所
東京都大田区下丸子3-30-2
電話番号
03-3758-2111

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