がん治療薬選択支援キット承認取得
2024-06-26 19:32:49

理研ジェネシス、がん治療薬選択を支援する「OncoGuide™ EpiLight™メチル化検出キット」の製造販売承認を取得

株式会社理研ジェネシスは、2024年6月21日に、東北大学病院腫瘍内科との共同研究成果である体外診断用医薬品「OncoGuide™ EpiLight™メチル化検出キット」の国内製造販売承認を取得したことを発表しました。

このキットは、結腸・直腸癌の治療薬選択を支援するために開発されました。がん組織のDNAメチル化状態をリアルタイムPCR法で解析することで、高メチル(HMCC)または低メチル(LMCC)を判定します。

臨床性能試験の結果、LMCCはHMCCと比較して抗EGFR抗体薬の効果が有意に良好であることが示されました。このことから、本製品は、患者さんの個別的な状況に基づいた適切な治療薬を選択するための重要なツールとなることが期待されています。

理研ジェネシスは、今後も新たながん診断法の開発に取り組み、精密医療の拡大を目指していくとのことです。

本製品の仕組み



「OncoGuide™ EpiLight™メチル化検出キット」は、がん組織から抽出したDNAをバイサルファイト処理し、ゲノムワイドなDNAメチル化状態を反映する16領域のDNAメチル化状態を検出することで、高メチル(HMCC)または低メチル(LMCC)を判定します。

DNAメチル化とは



DNAメチル化とは、DNAのシトシン塩基にメチル基が付加される化学修飾のことです。この修飾は、遺伝子の発現を制御する重要な役割を担っています。

バイサルファイト処理とは



バイサルファイト処理は、DNAメチル化を解析するために用いられる方法です。この処理により、メチル化されていないシトシンはウラシルに変換されますが、メチル化シトシンは変換されません。そのため、処理後のDNAをPCR法で増幅することで、メチル化シトシンと非メチル化シトシンの区別が可能になります。

抗EGFR抗体薬とは



抗EGFR抗体薬は、がん細胞の増殖に関与する上皮成長因子受容体(EGFR)を標的にする分子標的治療薬の一種です。この薬剤は、EGFRに結合することで下流へのシグナル伝達を阻害し、抗腫瘍効果を示します。

臨床性能試験



本製品の臨床性能試験は、東北大学病院臨床研究推進センター(CRIETO)支援のもと、進行再発結腸・直腸癌患者を対象に実施されました。試験の結果、抗EGFR抗体薬の効果について、LMCCはHMCCと比較して無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が統計学的に有意に良好であることが示されました。
理研ジェネシスが開発した「OncoGuide™ EpiLight™メチル化検出キット」は、結腸・直腸癌の治療薬選択を支援する画期的な体外診断用医薬品として注目されています。

従来、結腸・直腸癌の治療薬選択は、患者さんの年齢、病期、腫瘍の組織型などの情報に基づいて行われてきました。しかし、近年、がんの遺伝子やタンパク質などの分子レベルでの特徴を解析し、患者さんに最適な治療法を選択する「精密医療」が注目されています。

「OncoGuide™ EpiLight™メチル化検出キット」は、この精密医療を実現する重要なツールとなる可能性を秘めています。

本製品は、がん組織のDNAメチル化状態を解析することで、治療薬の効果を予測することが可能になります。これにより、患者さんの個別的な状況に基づいた適切な治療薬を選択することが可能になり、より効果的な治療を実現できることが期待されます。

ただし、本製品はあくまで治療薬選択の補助ツールであり、最終的な治療方針は医師が決定します。

今後、本製品が広く普及することで、多くの結腸・直腸癌患者さんの治療に役立ち、より良い治療成果に繋がることを期待しています。

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