社会シミュレーションプロジェクト、8社の採択企業が発表される

社会シミュレーションプロジェクト、8社の採択企業が発表

防衛装備庁が委託した「社会シミュレーションプロジェクト」が、8社の採択企業・研究機関を発表しました。この事業は、社会の意見分布予測技術の向上を目指し、多様な分野からの提案を受け付け、新たな研究の発展を促す取り組みです。

一般社団法人AICX協会と株式会社MEMORY LABが共同で実施しており、全国から寄せられた革新性のある提案と実績に基づく技術が選ばれています。以下が採択された企業のリストです（五十音順）：

- 株式会社アラヤ
- 株式会社FastNeura
- 株式会社HumanityBrain
- 株式会社Lightblue
- 株式会社SandBox
- 株式会社TDAI Lab
- リジェネソーム株式会社
- 横浜国立大学環境情報研究院（村山研究室）

背景と意義

現在の世界は、予測が難しい状況にあり、国際情勢の変化や情報の急速な拡散、価値観の多様化が進んでいます。その中で、社会の動向を見極めることの重要性は高まっています。SNSやオンラインメディアの普及によって、一つの情報が瞬時に広まり、人々の意思決定や行動に影響を与えることが多くなってきました。これらの変化に伴い、社会の動きを理解し、未来に備えるためには、さまざまなシナリオを再現できる「社会シミュレーション」が必要不可欠です。

生成AIは人間の思考を模倣するだけでなく、社会全体の反応を予測する手段としても期待されているものの、現状では多様な意見や行動を十分に捉えることができていないため、精度に限界があります。これらの課題を克服し、人間の行動や意思決定をより正確に反映する社会シミュレーション技術の実現を目指して、採択された企業は研究開発を進めています。この成果は未来の社会や安全保障の在り方を見通し、新たな価値創出につながると考えられています。

研究開発の進捗

採択された企業は2025年までに、動作するプロトタイプと成果報告書を提出予定です。将来的には、防災、政策立案、医療、教育、そして地域社会の問題解決といった多岐にわたる分野での応用が期待されています。また、2026年には顕著な研究成果の発表も予定しています。

オンラインコミュニティの設立

さらに本事業に関連して、11月中旬から「社会シミュレーション実証コミュニティ（仮称）」が設立される予定です。このコミュニティでは、防衛装備庁に採択された企業や研究機関、その他の関係者が参加し、知見の共有や意見交換を行います。

参加者は研究開発の進捗を共有し、課題を相談する場となります。定期的な会合や取り組みの紹介を通じて、参加者間のつながりを深め、社会シミュレーション技術の発展に寄与していくことを目指します。