がん医療革命への第一歩
2025年10月16日、東京において遺伝子検査のリーダー「ジェネシスヘルスケア株式会社」と、AIを駆使したデータドリブン医療の先駆者「SOPHiA GENETICS」が戦略的提携を発表しました。この提携により、SOPHiA社が欧米で展開している innovating cancer liquid biopsyの最先端技術が日本国内にも導入されることとなり、個別化されたがん医療の普及が進む見込みです。
新たなリキッドバイオプシー検査の提供
この提携の目玉となるのは、
MSK-ACCESS® powered with SOPHiA DDM™と呼ばれるリキッドバイオプシー検査の提供開始です。この革新的な検査では、1回の採血からがん治療のターゲットとなる遺伝子変異を高精度に発見することが可能です。AIを駆使し、循環腫瘍DNA(ctDNA)の解析を行うことで、膨大なデータから迅速に必要な情報を引き出します。
合わせて、腫瘍組織と正常組織を照合するマッチド解析法を採用しているため、検査の精度も格段に向上し、偽陽性のリスクを低減します。日本国内の自社施設で迅速に検査と解析が実施されるため、患者にとっても負担が軽減され、がん研究や早期発見の進展が図られます。
共に歩む個別化医療の未来
さらに両者は、リキッドバイオプシー・コンパニオン診断(CDx)検査の共同開発にも取り組むことで、多くの患者に高品質な腫瘍プロファイリング検査を提供し、個別化医療の拡大を加速させることを目指しています。このCDxの開発は、製薬企業にとっても新薬開発や市場アクセスをスピードアップする力を生むこととなるでしょう。
ジェネシスヘルスケア社の豊富な臨床と規制の知見を基に、日本国内での必要な許認可の取得を推進していくことも目的にしており、両社の密な協力体制が期待されます。
目指せ、プレシジョン・オンコロジー
「日本の患者にプレシジョン・オンコロジーを広く届けることは、私たちの大きな目標です」とSOPHiA GENETICSの社長ロス・ムケン氏は語ります。ジェネシスヘルスケア社の強力な臨床ネットワークを活用することで、ますます広まるデータ駆動型医療が患者に有益であることは間違いありません。
ジェネシスヘルスケア社の社長ミシェル・モメジャ氏も「20年以上にわたり、先進的なゲノム検査を提供してきた実績を持つ当社にとって、SOPHiA GENETICSとの提携は次の一歩です」とコメントしています。国内での検査実施により、迅速な結果とコスト削減、そして患者ケアの改善に寄与することが期待されます。
ESMOでの発表
この戦略的提携は、ドイツ・ベルリンで開催される欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2025で正式に発表されます。この会議は、プレシジョン・オンコロジーやバイオマーカー医療における国際的な交流の場として知られています。両社が本邦におけるデータ駆動型リキッドバイオプシー医療の推進に強くコミットしていることを示す重要な機会です。
未来の展望
今後、SOPHiA GENETICSは医療機関や研究者との連携をさらに進め、世界中の病院やラボに対してリアルタイムで役立つデータを提供することを目指しています。また、ジェネシスヘルスケアも国内における遺伝子検査の拡充を進めることで、がん医療の品質向上へと寄与していくでしょう。
この提携は、がん治療における新しい時代の幕開けであると同時に、患者一人一人に合わせた医療の実現を目指す重要な取り組みです。しっかりとしたイノベーションで、未来の医療に貢献していく両社の姿に注目です。