アボットが発表した革新的なDBSシステム「Liberta RC」
2025年7月24日、アボットメディカルジャパン合同会社が新たに発売した充電式脳深部刺激システム「Liberta RC™ DBSシステム」は、パーキンソン病や本態性振戦、ジストニア症状の治療に新たな光をもたらします。この最新システムは、前胸部に植え込むデバイスを通じて脳深部に電気刺激を送り、運動症状の緩和を図る脳深部刺激療法(DBS)に使用されます。
「Liberta RC」は、自社の従来モデルに比べて約23%小型化され、より多くの患者に適した設計となっています。このシステムの特徴の一つは、アボット独自の遠隔診療機能「NeuroSphere™ Virtual Clinic」です。従来の対面診療の煩わしさから解放され、患者は自宅に居ながら専門医の診療を受けることが可能になりました。
遠隔診療の利便性
特に、DBS治療に使える医師は脳神経外科医のごく一部に限られており、遠方から通う患者にとって、医療機関へのアクセスの困難さが問題となっています。「NeuroSphere VC」の導入により、患者は専用アプリを通じて、医師とのビデオ通話で症状を診てもらい、プログラム調整を受けることができます。これにより、治療の負担が軽減され、通院頻度が減ることが期待されます。
小型化による利点
「Liberta RC」の刺激装置は、約23%の小型化を実現し、支給される電池の持続日数も37日間におよびます。年間で約10回の充電で済むため、患者の心理的および身体的な負担が軽減されます。これは特に、高齢者や、日常生活に支障を来す症状に苦しむ患者にとって、大きなメリットです。
特にパーキンソン病は進行性の疾患で、症状が進むにつれて薬の効果が低下し、自分の意志に反して動く「ジスキネジア」が現れます。このような症状に対して、DBSは効果的な治療法として知られていますが、全ての患者が治療を受けられるわけではありません。アボットが提供する「Liberta RC」は、こうした課題を解消する手助けをしてくれるでしょう。
専門医の声
順天堂大学医学部脳神経外科の梅村淳教授は、「DBSは進行期パーキンソン病に対する標準的な治療法であり、アボットの新システムは患者の利便性を大きく向上させる」と語っています。この新しい技術が、より多くの患者に希望をもたらすことを期待されています。
アボットのビジョン
アボットメディカルジャパンのニューロモデュレーション事業部の藤本祐介部長は、「Libertaは患者の生活の質向上に寄与する技術であり、様々な患者に恩恵をもたらすことを目的としています」とコメントしています。アボットは、革新技術により人々の健康と幸福をサポートする使命を一層強化しているのです。
今後の臨床応用が待ち望まれる「Liberta RC™ DBSシステム」。多くの患者が新たな治療の選択肢を手に入れられることを期待しています。