トンネルナノチューブの秘密
2025-10-24 14:09:55

新発見!トンネルナノチューブ形成を促進するCCT4の役割

新たに明らかになったトンネルナノチューブ形成のメカニズム



多細胞生物の生理機能の中で、細胞間のコミュニケーションは非常に重要です。このコミュニケーションの一環として、細胞は物質をやりとりし合いながら互いに協力しています。これまで、細胞同士は通常、細胞膜を介して互いに分泌物を受け取るか、細胞膜を通じてエンドサイトーシス(取り込む過程の一つ)を介して物質をやりとりしていると考えられていました。しかし、近年の研究によって、細胞間で形成される「トンネルナノチューブ(TNT)」と呼ばれる特異な構造体が、その役割を果たすことがわかってきました。

トンネルナノチューブは細胞間で直接連絡を取り、タフなトンネルのような構造であり、分子や細胞内小器官を輸送するための通路として機能します。このTNTは、アクチンフィラメントを主成分としていますが、一部はより強力な微小管を成分とすることもあります。微小管を持つTNTは、通常のアクチンフィラメントよりも速く、より効率的に物質を輸送する能力がありますが、その形成過程は従来は謎に包まれていました。

CCT4の発見とTNT形成の関係



最近、東京都立大学の研究チームが、トンネルナノチューブの形成を促進する重要なタンパク質「CCT4」を新たに同定しました。研究チームは、CCT4を多く発現する細胞にはTNTが多く形成され、その中には微小管を含む太いTNTがあることを観察しました。この結果が示すのは、CCT4が細胞間の通信を担うTNTの形成に深く関与しているということです。

さまざまな実験を通じて、このCCT4の過剰発現が細胞間でのナノチューブの数を増加させることが分かりました。特に、CCT4の発現量が増えることで、微小管を有する太いトンネルナノチューブが形成され、その結果、細胞間での物質輸送が例外的に活発化することが見て取れました。

TNTの役割と医療への影響



TNTの機能は多岐にわたりますが、特に神経細胞や癌細胞におけるストレス応答と密接に関連しています。学術文献では、TNTを介して不適切なタンパク質を周囲の細胞へ送信し、疾患を助長する可能性も示唆されています。そのため、TNTがどのように物質を選択し、適切な方向に運ぶかを解明することは、神経変性疾患や癌の研究において非常に重要です。

今後の研究が進むことにより、CCT4が微小管を持つTNTの形成において果たす役割が一層明確になり、その結果、細胞間の物質輸送のメカニズムが解き明かされることで、さまざまな疾患に対する新たな治療法の開発に寄与することが期待されます。

まとめ



トンネルナノチューブに関連する最近の研究は、細胞通信の理解を深め、そのメカニズムを解明するための重要な一歩であるとともに、人類の健康維持に向けた新たな知見をもたらしています。今後の研究結果に注目したいところです。


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