国産ゲノム編集技術UCAYの革命
国産のゲノム編集技術であるUCAY(Universal CRNA-guided GE AssemblY)は、遺伝子編集の新境地を切り開く技術です。特に既存の技術では難しいとされていた遺伝子領域にも対応可能で、その特異性から産業利用への期待が高まっています。しかし、これまでUCAYには編集ターゲットを特定するためのガイドRNAのデザインツールが存在せず、その設計は熟練した研究者の知識と経験に頼るしかありませんでした。人の手による職人技が必要だったため、効率的な研究が難しいという課題がありました。
そこで、東京都立産業技術研究センター(都産技研)と株式会社ベックスの共同研究により、画期的なガイドRNAデザインツールが開発されました。このツールは、バイオインフォマティクス技術を活用して、ガイドRNAの候補を定量的に予測することができ、編集効率を飛躍的に向上させることが期待されています。
UCAYの特長と編集効率向上のメリット
UCAYの大きな強みは、そのライセンシングの容易さです。従来のゲノム編集技術は、複雑なライセンス体系の影響で、産業利用が難しい状況にありましたが、UCAYを用いることで、この壁を乗り越えることができるでしょう。また、リピート領域など既存の技術では編集が難しい部分にアプローチできるため、育種などさまざまな分野における応用が期待されています。
新しいガイドRNAデザインツールは、二次構造を考慮した解析を行うことで、高効率のガイドRNA候補を提供します。これにより、ゲノム編集実験のコストを抑えることが可能に。より多くの研究者がこのツールを活用することで、今後の研究発展が一層加速することが予想されます。
第48回日本分子生物学会にて発表
この重要な研究成果は、2025年12月3日(水)から5日(金)までパシフィコ横浜で開催される第48回日本分子生物学会においてポスター発表される予定です。研究の詳細に興味がある方は、ポスター番号1P-031(12/3のみ)をぜひご覧ください。また、株式会社ベックスのブースではUCAYについての情報も展示されるため、こちらも併せて訪れる価値があります。
国産ゲノム編集技術UCAYと新たに開発されたガイドRNAデザインツールは、今後の研究において革命的な進展をもたらすことが期待されており、様々な分野での応用が望まれます。