みなかみ町でのネイチャーポジティブ実現に向けた取り組み
群馬県みなかみ町は、自然環境を最大限に生かしながら、地域の生物多様性の保全と社会経済的課題の解決に向けて、三菱地所株式会社および公益財団法人日本自然保護協会と連携し、2023年にトリプルアライアンスを結成しました。この取り組みでは、「ネイチャーポジティブ」を実現するための4つのステップが設計され、生物多様性の回復状況を定量的に評価する手法も策定されました。このプロジェクトは、地域の自然環境を守りながら、持続可能な社会を目指すものです。
ネイチャーポジティブとは?
「ネイチャーポジティブ」とは、様々な活動を通じて生物多様性の損失を抑え、自然を再生することを目指していて、国際的な合意に基づいた考え方です。特に、2022年に開催された生物多様性条約締約国会議において採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組では、2030年までの行動計画においてこのことが明記されています。
4つのステップとは?
みなかみ町での実施プロジェクトでは、以下の4つのステップに従ってネイチャーポジティブを実現しようとしています。
1.
地域の現状評価 - 生物多様性や社会経済的課題の現状を把握します。
2.
目標・施策の検討 - ネイチャーポジティブに繋がる施策を考案します。
3.
取組の実施 - 実際に現地での施策を実施します。
4.
評価とフィードバック - 効果を定期的にモニタリングし、改善点を見つけます。
これらのステップは、地域の特性に応じた具体的な行動計画として策定され、自治体や企業、市民団体が活用できる形で整理されています。
持続可能な地域づくりのための手引書
今回のプロジェクトの成果をもとに、他の地域でもネイチャーポジティブを実現するための「地域のネイチャーポジティブに向けた実践ガイド」が作成され、公開されています。このガイドは、地域ごとの取り組みを促進するための具体的な手順や方法を示し、汎用性の高い内容に仕上がっています。
生物多様性の評価手法
実施ガイドには、生物多様性回復のための評価手法も含まれています。生物多様性を定量的に評価しながら、実施状況を的確に把握し、持続的な取り組みの改善に役立てることができます。この評価は、地域の実態に即した指標を設け、継続的にモニタリングする体制を整えています。
これからの展望
三者は今後も生物多様性の回復傾向を見定め、活動の効果を定期的に検証していく方針です。また、自然を活用した解決策(NbS)の推進を通して、地域における様々な社会的成果を生むことを目指します。みなかみ町の取り組みは、他の地域にとっての示範ともなり、地域の持続可能性を向上させる一助となることを期待しています。
この取り組みは、その成功をもとにさらなる地域への展開や適用が行われることで、日本全体の生物多様性の保全や持続可能な社会の実現につながる可能性があります。ぜひ、多くの人々がこの重要なプロジェクトに注目し、共に取り組んでいくことが求められています。