宇宙の深淵に迫る!巨大ブラックホールと銀河の共進化
最近、東京大学の研究チームが、129億年前の宇宙に存在する「死にゆく巨大銀河」と超大質量のブラックホールを発見しました。この研究は、すばる望遠鏡とジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の協力によって実現しました。今回は、この発見を通じて、銀河とブラックホールの進化の関係について詳しく解説します。
1. 研究の背景
銀河とその中心に位置するブラックホールの進化については、これまで多くの研究が行われてきました。ほとんどの銀河には、太陽の数十万倍から数百億倍の質量を有する巨大ブラックホールが存在しています。今回の発表では、129億光年離れた場所にある活動的なブラックホール(クェーサー)に注目しました。
この研究は、国際的な共同研究チームによって行われ、東京大学、愛媛大学、立命館大学、また国立天文台の研究者が参加しています。彼らは、JWSTを用いて、初期宇宙で最も早く成長した銀河の一部を観察しました。
2. 研究の内容
今回の研究では、J2236+0032とJ1512+4422という2つのクェーサーを調査し、これらが「死にゆく銀河」の特徴を示していることを明らかにしました。特に興味深いのは、これらの銀河が星形成活動を急速に停止し、成長が著しく減速している点です。
すばる望遠鏡の特長である超広視野主焦点カメラ(HSC)による観測により、これらのクェーサーは、通常の観測では捕らえにくい中性水素の吸収線を示しました。このことは、親銀河からの光が含まれていることを示唆しています。これまでの研究では、宇宙において星形成活動が停止した銀河は、約80億年前のものしか確認されていませんでしたが、JWSTがもたらした新たなデータにより、129億年前の宇宙でも同様の銀河が存在したことが確認されました。
3. 重要な発見とその影響
この研究で発見された特徴は、銀河が「ポストスターバースト銀河」として知られる状態にあることを示しています。このような銀河は、激しい星形成活動の後に成長が止まり、星形成の静止に移行する過程にあります。興味深いことに、今回のクェーサーはそれぞれ、太陽の60億倍、40億倍の星質量を有する大規模な銀河であることがわかりました。
また、特筆すべき点は、巨大ブラックホールが依然として活動的であることです。J2236+0032とJ1512+4422は、星形成活動が終息に向かう大質量銀河の中で、観測史上最も早い時期に存在する天体です。この発見は、初期宇宙における銀河とブラックホールの共進化に新たな視点を提供します。
4. 今後の展望
本研究の成果は、初期宇宙における銀河とブラックホールの相互作用を理解するための新たな手掛かりを示しています。今後も、研究チームはJWSTのデータを解析し、新たな観測計画を検討していく予定です。この発見が、宇宙の進化についての理解を更に深めることが期待されます。
銀河や巨大ブラックホールという神秘的な存在についての研究が進む中、私たちはその全貌に少しずつ迫りつつあります。今後の研究から目が離せません!