風力発電が太陽光発電を上回る!秋田県など4県でエネルギー自給率50%超え!
千葉大学大学院社会科学研究院の倉阪秀史教授とNPO法人環境エネルギー政策研究所は、日本国内の市町村別の再生可能エネルギーの供給実態などを把握する「永続地帯」研究を進めています。このたび18年目となる2023年度の報告書を公表しました。
この研究は、地域で得られる再生可能エネルギーと食料によって、その地域のエネルギー需要と食料需要をすべて賄うことができる「永続地帯」を研究対象としています。今回の報告書では、2023年3月末時点で稼働している再生可能エネルギー設備を把握し、その設備が一年間にわたって稼働した場合のエネルギー供給量を推計しました。
2023年度の報告書の主な結果
2023年度の報告書では、以下の5つの重要な結果が明らかになりました。
1.
風力発電の伸び率が太陽光発電を上回る
2022年度は、風力発電と太陽光発電の伸びに牽引され、再生可能エネルギー電力は6.3%増加しました。風力発電の伸び率は8.9%増、太陽光発電の伸び率は7.4%増と、風力発電がより高い伸びを示しました。
2.
地域的エネルギー自給率は秋田県が4年連続1位。秋田県を含む4県が自給率50%を超える
地域的エネルギー自給率は、地域の再生可能エネルギー供給量が民生・農林水産業用エネルギー需要に占める割合を示します。秋田県は4年連続で1位となり、自給率は58.3%に達しました。さらに、大分県、群馬県、鹿児島県も自給率が50%を超え、トップ4県がエネルギー自給率の高い水準にあることがわかります。
3.
100%エネルギー永続地帯と電力永続地帯の市町村数が200以上に
域内の民生・農林水産業用エネルギー需要を上回る地域的な再生可能エネルギーを生み出している市町村(エネルギー永続地帯)の数は、2011年度には50だったところ、2022年度には216に増加しました。また、域内の民生・農水用電力需要を上回る量の再生可能エネルギー電力を生み出している市町村(電力永続地帯)は、355に増えました。
4.
再生可能エネルギーの供給は需要の20.3%に
日本全体での地域的な再生可能エネルギー供給量は、2011年度に民生+農水用エネルギー需要の3.8%でしたが、2022年度には20.3%まで増加しました。再生可能エネルギーの利用が大きく拡大していることがわかります。
5.
永続地帯市町村数は116に
エネルギー永続地帯216市町村のうち、食料自給率も100%を超えた市町村(永続地帯)は、2022年度に116市町村になりました。これらの市町村は、住み続けるために必要なエネルギーと食糧を地域で生み出すことができる、まさに「持続可能な地域」と言えるでしょう。
まとめ
「永続地帯」研究は、再生可能エネルギーの利用拡大とエネルギー自給率向上に向けた取り組みを促進するための重要な指標となっています。風力発電の伸びが太陽光発電を上回るなど、再生可能エネルギーの技術革新が進む中で、今後も「永続地帯」研究は重要な役割を果たしていくことが期待されます。