業界初の水素と都市ガス混焼対応の冷温水機
2025年8月7日、パナソニック株式会社と大阪ガス、それにその100%子会社であるDaigasエナジー株式会社が共同で開発した水素および都市ガス混焼対応の吸収式冷温水機が登場しました。この新技術は、混焼比が0%から100%まで調整可能で、特に注目すべきは既存の都市ガス燃料を使用した冷温水機の部品を交換するだけで、水素対応機に簡単にアップグレードできる点です。これにより、脱炭素社会への一歩を踏み出し、持続可能な未来に貢献することを目指しています。
環境に優しい冷温水機の特徴
パナソニックが手がける吸収式冷温水機は、50年以上の歴史を持ち、日本国内でトップクラスのシェアを誇ります。この冷温水機は特定フロンやその代替物を使用せず、自然の「水」を冷媒に利用するため、オゾン層の保護や地球温暖化の抑制に寄与しています。さらに、エネルギー源として主にガスや廃熱を活用し、電力需要の平準化や停電時のエネルギー供給の安定化に貢献しています。
Daigasグループは、1970年からこの技術を事務所ビルなどに提供してきた実績があります。特に、Daigasエナジーは都市ガス用バーナーの開発や販売を手がけており、安全で効率的な燃焼技術に関する知見を有しています。
水素の特性と課題
水素は、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出せず、「クリーンエネルギー」として高く評価されています。しかし、水素は都市ガスに比べて燃焼速度が速く、火炎温度が高いため、燃焼過程でNOx(窒素酸化物)が多く発生するという課題も存在します。この点について、共同開発された冷温水機では、水素と都市ガスの混焼比率に応じた最適な空気流量制御技術が取り入れられています。また、特別に設計されたバーナーを用いることで、水素燃焼時の火炎温度を下げ、NOx値を40 ppm未満に抑えることが可能となりました。
さらに、既存の都市ガスを利用した機器においては、燃焼関連部品を交換するだけで水素対応機にリニューアルできることから、購入費用を抑えつつお客さまのCO2排出量削減ニーズに迅速に応えることができるのです。
未来への取り組み
カーボンニュートラルを目指す中で、パナソニックは「Panasonic GREEN IMPACT」キャンペーンを掲げ、Daigasグループも「エネルギートランジション2050」を推進しています。これにより、2つの企業はそれぞれの強みを結集し、脱炭素社会の実現に向けた新しいソリューションの開発に挑む姿勢を見せています。
この技術革新は、エネルギー市場における新たなスタンダードとしての地位を確立すると同時に、後の世代により良い環境を残すための重要な一歩となるでしょう。今後の動向に一層の注目が集まります。
まとめ
業界初となるパナソニックとDaigasエナジーの共同開発による水素および都市ガス混焼対応の冷温水機は、環境配慮型の新技術として資源の有効活用とCO2排出削減に貢献する可能性を秘めています。持続可能な未来に向けて、今後の進展が期待されます。