アセンダー・キャピタルの提案
2018-06-19 15:46:02

アセンダー・キャピタル、住友電設に資本改革を求める動き

アセンダー・キャピタル、住友電設に資本改革を求める動き



香港を拠点に活動するアセンダー・キャピタル・リミテッドは、日本を含むアジアのバリュー株に注目する投資ファンドです。近年、同社は住友電設株式会社の株式を約0.8%保有しており、長期的な投資家として影響力を持っています。この度、アセンダー・キャピタルは住友電設に対し、資本配分の見直しを求める提案を発表しました。

投資家のエンゲージメント



アセンダー・キャピタルは投資先企業との建設的な対話を重視しており、これまでにも成功事例を持ちます。特に、2013年から2014年にかけてBPカストロール株式会社の経営陣への改善提案を行い、企業価値を高めた実績があります。このような取り組みにより、アセンダー・キャピタルは株主の利益を最大化するための方法を模索しています。

2017年から、住友電設との対話を開始し、経営陣に対してガバナンスや資本配分の問題に対する具体的な提案を行ってきました。しかし、これまでの対話では具体的な答えを得られず、アセンダー・キャピタルは正式な情報公開を求めています。

過剰資本の状況と提案内容



住友電設の業績は堅調であり、2018年度には売上高が7%、営業利益が約20%上昇しました。しかし、アセンダー・キャピタルによると、過剰資本の問題が同社の企業価値を損なっているとのことです。住友電設は、素晴らしい事業モデルと経営力を持ちながらも、競合他社に比べて過小評価されているとされています。

アセンダー・キャピタルは、以下の提案を住友電設に送付しました。
1. 親会社住友電気工業への貸付金の直ちに回収
2. 現預金を業界水準に合わせるための特別配当の実施
3. 配当性向を80%に引き上げ、資本水準の軽量化を図る

これにより、アセンダー・キャピタルは全てのステークホルダーにとっての利益を最大化することを目指しているのです。

バランスシートの分析



住友電設のバランスシートは、非中核事業の資産が多く含まれています。2018年度には現預金が27%増加し、総株主資本の51.7%に達しました。これに対し、同業他社の現預金の水準は業界平均の半分程度であるため、アセンダー・キャピタルは超過剰資本の状況を問題視しています。また、アセンダー・キャピタルは株主資本に占める現預金や現金の割合が業界の2倍以上であり、企業の独立性やガバナンスに悪影響を及ぼす可能性があると指摘しています。

ROEと配当政策



2018年度の決算では、ROEが微増して10.4%となりましたが、アセンダー・キャピタルは実力に対して低水準であると評価しています。同社は、住友電設が資本を最適に活用することで、40%近いコアROEを達成できると見込んでいます。

また、住友電設は同年度に配当額を19%引き上げることを提案しましたが、実際には配当性向が低下し、配当利回りも下がる結果となりました。アセンダー・キャピタルは、提案した配当性向80%を適用すれば、配当利回りが7.7%を上回るとしています。

今後の展望



アセンダー・キャピタルの提案は、単なる数値改善だけでなく、企業価値を高めることを目的としています。株主として住友電設の成長を支援しつつ、利益を最大化するための方策を探る姿勢が伺えます。今後、住友電設がアセンダー・キャピタルとの対話を進め、より実効性のある改善策を講じることが期待されます。

香港を拠点とするアセンダー・キャピタルは、日本をはじめとするアジアの企業に注目し、持続可能な成長を追求しております。投資先企業の価値向上への道筋を提案することで、全体のエコシステムを強化することを目指しています。

会社情報

会社名
Ascender Capital Ltd.
住所
Suite 3001, 30/F, W50 50 Wong Chuk Hang Road, Hong Kong
電話番号
852-3758-2608

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